「チェルビ」第四十三話 恋愛連載小説
※感想をコメントしづらい方。「読んだよ」の一言だけでもいただけると、嬉しいし励みになります♪
↓画像クリックで目次に飛びます
日曜日。
僕とユイは、コンビニで買ってきたパンと、インスタントコーヒーで朝食を済ませた。
チェルビは、ベッドの上で横になり、四本の足を伸ばしている。
僕が、軽く前足に触れると、胸の前に丸くたたんだ。
鈴の音が、小さく鳴った。
チェルビの目は、丸く、大きい。
鼻から口元にかけての部分は、表現し難いほどの可愛さだ。
まだ、小さな子猫のような雰囲気が残っている。
僕とユイは、チェルビの顔が、本当に好きだった。
「何時頃、出る?」
「オレ、いつでもいいよ」
今日は、電車で買い物に出かける予定だ。
僕とユイの、お互いのクリスマスプレゼントを探しに行く。
お互いが欲しいものをプレゼントするのではなく、プレゼントしたいものを渡す。
先日、夜の海で盛り上がった会話の中で決めた、二人の約束だ。
ユイの誕生日プレゼントの指輪を見つけた、あの店に行く。
二人とも、プレゼントするものを特定していない。
他に、いくつかの店を見て回りそうだ。
街は、やはり、たくさんの若者で賑わっていた。
黒いニット帽から、ユイの赤い髪が少しだけ出ている。
出会った頃と比べて、随分長くなった。
時々、後ろで小さく結んでいることもある。
手を繋いで歩く。
冬の曇り空が、建物の窓ガラスに映る。
店に入ると、数組の客がいた。
相変わらず、独特の空気だ。
ユイは、服を見ていた。
僕は、離れた場所から、その姿を眺めていた。
あまりにも、店の雰囲気に馴染んでいる。
僕の視線に気付いて、小さく微笑んだ。
毎日のように、顔を合わせているが、ユイの仕草や表情は、時々、僕の心をあっさり奪ってしまう。
「イクオ」
ユイが、僕を呼ぶ。
「これ。イクオにプレゼントしたい」
黒いニットカーディガン。
シルバーのジッパーが斜めに走っている。
袖にもジッパーがある。
フードはビニール生地で、色は濃紺だ。
フードの調整紐は、黒いナイロンワイヤーで、先端部にはワイヤースプリングがかしめてある。
「カッコいい・・・」
心から、そう思った。
着ていたハーフコートを脱いで、合わせてみた。
全体的に細身のシルエットは、いい具合のフィット感だ。
今日はジーンズだが、この前に買ったばかりのグレーのサテンパンツにも合いそうだ。
「めっちゃ、カッコいい」
「気に入った?」
ユイが支払いをしている間、ユイへのプレゼントを探してみた。
置いてあるものは、全てセンスが良く、洒落たものばかりだが、誕生日プレゼントの指輪のように、心に響いてくるものはなかった。
「ちょっと早いけど、メリークリスマス」
「ありがと。メリークリスマス」
ユイから、赤い包装袋でラッピングされた、先程のニットカーディガンを受け取った。
店を出て、別の店に向かった。
昼食を挟んで、午後からもプレゼント探しだ。
↓ランキング参加中♪クリックよろしキュン。
