「チェルビ」第三十二話 恋愛連載小説
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十時。
開場と同時に、予想以上の数の来場客がやってきた。
一時間後に、特設ステージで有名女性歌手がミニライブを予定しているせいもあるのだろう。
僕たちのブースに、人が集まりだした。
女性オーナーが、テレビ局のスタッフを連れて現れた。
女性リポーターと会話している姿をカメラマンが撮影している。
ドラマに出てくる女優のような雰囲気が、その場の空気を華やかにしてしまった。
周りには、音声や照明のスタッフもいる。
先ほどの金髪の青年が、インタビューに応えていた。
青年の仲間らしい別の二人の男性が、派手な柄のシャツやパーカーを手に持ってカメラに向けている。
僕たちの場所にも、人が集まりだした。
大学生風の若い女性が一人、半袖のシャツを買ってくれた。
その後、若い夫婦がチェルビのポストカード四種類全部と、長袖のシャツを買っていった。
その様子は、カメラ撮影されていた。
客足が途絶えない。
僕とユイは、予想外の接客に追われていた。
ユイは、時々、デザインについて質問してくる人たちに、丁寧に説明していた。
熱心に説明を聞いていた女子高生風の女の子が、ユイに握手を求めていた。
少し落ち着いてきた。
ミニライブの時間が近づいてきたためだろう。
僕とユイは、一息入れることにした。
出品スペースに、大きな白布をかぶせた。
二人とも、女性オーナーからの差し入れの烏龍茶を飲んだ。
ユイがスナック菓子を持ってきていて、それを少し食べた。
チェルビを抱えた僕とユイは、金髪の青年の場所へ向かった。
「遊びに来ました」
青年は仲間の二人とくつろいでいるところだった。
「あっ。おつかれっす。チェルビも来てくれたんや」
青年たちの作品は、ロック風のデザインで統一されていた。
服がメインで、他はバンダナと、針金とワイヤーで作られたアクセサリーが置いてあった。
どの作品も派手な色やデザインだが、安っぽくない。
もしかしたら、質の高いデザインなのかもしれないと心で思った。
「あれ?ユイッチ?」
青年の仲間の一人が、ユイに声をかけてきた。
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