「チェルビ」第三十話 恋愛連載小説
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フリーマーケット開催日。
あいにくの雨だった。
会場ホールの地下駐車場の指定された場所に、ステーションワゴンを停めた。
会場内に荷物を運び入れる。
既に何人かの人たちが、各所で出品準備をはじめていた。
僕たちが間借りするスペースは、会場の中央部の一番大きな区画内にあった。
天井から吊るされたイベントとスポンサーの名前が書かれた巨大な垂れ幕が目を引く。
その垂れ幕のちょうど真下だ。
今回のイベントは、数日前から、テレビCMが放送されていた。
今朝の朝刊にも大きな広告ページがあった。
「おはようございます」
周りの人たちと挨拶を交わす。
持ち込んだ作品を並べていく。
僕たちのブースに集合がかかった。
三十人ほどが集まり、僕たちの前で男性が挨拶を始めた。
脚立の上に立ち、拡声器を使って簡単な説明を話している。
僕は、チェルビが入った段ボール箱を抱え、話を聞いていた。
周囲を見渡すと、個性的な格好をした若者だけでなく、年配の人たちもいた。
中には、家族連れもいる。
男性の話が終わると、上品な雰囲気の女性が脚立の上に立ち挨拶を始めた。
年齢は四十歳くらいだろうか。
お世辞抜きに綺麗な人だ。
古着屋を経営しているこの女性オーナーが、ユイを今日のイベントに参加させてくれたらしい。
その話と声は、不思議な魅力を含んでいて、話を聞いていた僕は気分が高まってきた。
ユイの横顔に目を向けると、真剣に話を聞いているのがわかる。
今日のユイは、赤い髪にたくさんのヘアピンを付けている。
何色もの鮮やかな色が目を引く。
大きめのピアスが、鈍い銀色の光を放っている。
左手の人差し指。
僕が誕生日にプレゼントした指輪が、満足のいく存在感だ。
ユイは、僕と揃いのシャツに、色違いのジャージを合わせている。
僕は深みのあるカーキ色、ユイは鮮やかなブルーのジャージだ。
ユイの首には、赤い派手なプリント柄のバンダナが巻かれている。
今日は、二人ともジーンズを履いている。
話を終えた女性オーナーは、素敵な笑顔で僕たちに一礼した。
そして、最後にみんなに向かって手を振っていた。
その姿が、妙に可愛らしく思えた。
僕は魅力的な女性オーナーに、ユイの将来の姿を重ねてみた。
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