「チェルビ」第二十一話 恋愛連載小説
※「チェルビ」は、わたしが作った”語感”が気に入ってるだけの言葉です。
意味は、今後の展開の中でわかるかもしれません。
※感想をコメントしづらい方。「読んだよ」の一言だけでもいただけると、嬉しいし励みになります♪
「イクオー。これ、どこに置いたらいい?」
廊下の向こうに、直立不動で段ボールの箱を抱えたユイがいる。
今日のユイは、程よく色落ちしたジーンズを履いている。
オレンジのタンクトップの上に合わせた白い長袖シャツは、すでに少し汚れが付いている。
今日は、僕の新しい部屋へ引っ越しする日だと先月から決めていた。
一人でも大丈夫だったが、ユイがどうしても手伝いたいと言い出したので、せっかくの厚意に甘えることにした。
ユイの誕生日を祝った日から、僕たちはほとんど毎日会うことができている。
食事を共にしたり、カフェでコーヒーを飲んだり。
「ユイー。その箱に工具入ってない」
「工具?これかな」
鉄製の赤い工具箱を開けて、ラチェットレンチを取り出した。
ソケットをセットして、スチールラックを組み上げていく。
ユイは、流し台で食器を洗いだした。
少ない荷物は、2DKの部屋には少し役不足な感じだった。
照明を取り付け終わる頃には、腕のデジタルは昼前を表示していた。
「ユイ。昼、なに食べたい?」
「あっ。わたし、お弁当作ってきた」
正午を少し回った。
まだ開けていない段ボールに、弁当箱を包んでいた布を敷いて即席のテーブルを作った。
ラップに包まれたおにぎりと、おかずが並んだ。
唐揚げと玉子焼きとプチトマトは、手でつまんだ。
ペットボトルのお茶も用意されている。
これが、初めて食べるユイの手料理ということになる。
開けっ放しのベランダ窓から、生ぬるい風が入りこんできた。
「めっちゃ、おいしい」
「マジで?ありがと。急いで作ったから、味つけとか適当やで」
形も色もバラバラのカップに、インスタントコーヒーが入った。
静かな時間を過ごした後、昼からの作業をはじめた。
元々少ない荷物は、ほとんど片付いてしまった。
「ベッドと布団、買いに行こっか」
会社から借りたワンボックスの車で、近くのホームセンターへ向かった。
手頃なセミダブルのパイプベッドを見つけたが品切れだった。
とりあえず購入予約して、入荷したら連絡してもらうことにした。
以前に雑貨屋で購入したカバーに合う大きさの布団と枕を購入した。
その他の必要な物を調達して、ホームセンターを後にした。
部屋に戻り荷物を降ろして、二人はもう一度ワンボックスに乗り込んだ。
僕が勤めている会社に向かった。
会社の近くでユイを降ろして、僕は会社の出入口ゲートをくぐってすぐの駐車スペースに車を停めた。
車の鍵を守衛スタッフに渡して、待たせていたユイと合流して歩いて駅に向かった。
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