の続きです。
※この記録は、4人目出産前に、3人目の自宅出産のことやこれまでのお産を振り返ってみようかなとふと思い、まずは一番初めに死産したムスメのことを記すことにしたものです。
私にとって人生観、死生観を大きく変え、これほどまでにいのちを見つめたことはなかった出来事でした。
ただ悲しい体験を記したいのではないく、この経験を通して感じたこと・・・どんなに短いいのちにも価値があるし、死と直面したことで、今生きてるってなんてありがたいんだと思ったことを綴りたいなと思ってます。
ご興味のある方だけ、おつきあいいただけると嬉しいです![]()
悲しみは何の前触れもなく、
突然に襲ってきた。
後期の病院健診で、前期と同じ病院に
行ったときのことだった。
助産院では、エコーが見れないので、
久々にエコーで陽菜子の姿を
見れることが楽しみだった。
体重、血圧を測り、
心音を確認しようとしたが、
なかなか確認できない。
前にも助産院で、
奥の方に行ってしまっていたのか
確認が取れにくいことがあり、
助産師さんと
「照れ屋さんだね」なんて話していたので、
それほど気にならなかった。
あちこち当ててもダメだったので、
「人が変わったら大丈夫かもね」
と他の助産師さんに変わった。
「逆子と言われたことありますか?」
「いえ・・・」
ほんの少しの不安がよぎる。
「エコーで見たらすぐ分かるから」
そう言って、診察室へ移った。
前回と同じ先生だった。
独り言のように何か言いながら、
あちこちにエコーをあてる。
なんか先生の様子が変。不安が高まる。
「頭はちゃんと下にありますね。」
との声で、胸をなでおろした。
しばらくエコーをあてて、先生は言った。
「心臓が止まっていますね」
・・・・・。
そのときは、
「心臓が止まっている」=死を意味する
とはすぐに理解できなかった。
胸の鼓動が一気に高まり、
一粒の涙が頬を伝った。
診察台から降りて、説明を受けた。
心臓が動いていたら、
エコーで色が表示されるが、
それが表示されないということ。
なんらかの原因で心臓が止まり、
赤ちゃんが子宮内で亡くなっているということ。
この週数(32週)でこのようなことは
滅多にないが、ごく稀にあるということ。
原因は出産してみないと分からないということ。
ただ呆然と聞いた。
亡くなっているなんて・・・。
そんなの信じられるはずもなく、
信じたくもなかった。
何かの間違いじゃないか。
本当はまだ生きているんじゃないか。
出産してみたら、息を吹き返すんじゃないか。
話を聞きながらも、
そんなことばかりが頭を駆け巡る。
質問はないかと聞かれ、
すがるような思いで聞いてみた。
「可能性はないんですか?」
「ないですね」
そうはっきり言われたことで、
頭を駆け巡っていた思いが打ち砕かれた。
別室で、看護部長さんに話を受けた。
何を話したかよくは覚えていないけど、
とても優しく親身に接してくださった。
ある詩の一部を教えてくださった。
赤ちゃんは途中で怖くなって引き返してしまうことがあるということ。
また、ご自身の辛い経験も話してくださった。
看護部長さんのお子さんは、生後8ヶ月くらいで、突然死してしまったということ。
それから入院のことなどの説明も受け、
最後に名刺をくださった。
「何か分からないこととかあったら、あなたでもご主人でもいいし、夜中でもいいから、いつでも電話して」と。
最初は呆然と聞いていたけど、
次第に涙が溢れ出てきた。
肩を抱かれ、病院の入り口まで
見送ってくださった。
とにかく、すぐに夫に電話したかった。
病院を出て、泣きながら電話した。
仕事中に話すのは躊躇って切ろうかと思ったけど、夫も私の涙声でただならぬことだとすぐに察した。
「陽菜子が天国に行っちゃったの」
それだけ言うのがやっとだった。
夫はすぐに帰ってきてくれた。
顔を合わせた瞬間、二人で号泣した。
なんで?なんで?何がいけなかったの?
たくさん自分を責めた。
何かの間違いじゃないかという思いも
捨て切れなかった。
でも昨日まで元気に動いていたお腹は、
ぴくりとも動かない。
夫は泣きながら言った。
「9ヶ月が陽菜子の寿命やったとよ。今日が命日やね。」
その言葉でハッとした。
これは逃れられない現実なんだ・・・。
夫と一緒に、病院に話を聞きに行った。
先生が私に話してくださったことを、
夫にも説明してくださった。
もう一度エコーで確認したけど、
ほんのわずかな期待は儚く消えた。
入院するのは
急がなくても良いとのことだったが、
陽菜子と少しでも長くいたいと思う反面、
大きなお腹を抱えて過ごすのは辛かった。
翌日から入院することを決め、
病院を後にした。
3人で家で過ごす最後の夜。
ゆったりと過ごした。
たくさん涙を流しながらも、
最後に一緒に過ごす幸せ、
そしてもうすぐ陽菜子に会えるという
幸せをかみ締めながら過ごした。
眠りについたけど夜中に目が覚め、
また涙が溢れてくる。
長い夜が明け、朝がきた。
着替えるとき、
大きなお腹を鏡に映し出した。
大きなお腹・・・
そこに陽菜子はいるけど、命はない。
このお腹も今日が最後・・・。
そう思って、また涙が溢れ出した。
そのお腹に、腹帯を巻いた。
「赤ちゃんが初めて着るお洋服なのよ」
と助産院で巻いてもらった腹帯。
「陽菜子のおべべやね」と言って、
毎日陽菜子を守るため、温めるために
巻いていた。
それも、もう最後。
最後まで陽菜子を守ってくれますように。
そんな思いを込めながら丁寧に巻いた。
そして、病院へ向かった。
続く



