統合失調症の発病と再発 | kyupinの日記 気が向けば更新

統合失調症の発病と再発

長期に入院している患者さんの過去のカルテを調べていると、初回入院のまま入院を継続している人はほとんどいないことに気付く。

この長期というのは昭和50年代から入院している人である。全く恐ろしいほどの長期間である。

初発の時、数ヶ月入院治療を行っているが、当時の医療でさえ、治療がうまくいき車の免許を取り就職したとか、あるいは資格を取ったという記載がみられる。

つまり、真の統合失調症の人は初回は治療を受ければ、とりあえず軽快しやすいと言える。


問題は、2回目ないしそれ以降の増悪である。この際の病状の重さが予後を決めているように見える。(改善の程度。この場合、寛解の程度とは言わない。過去ログには、統合失調症には「寛解さえありえない」という考え方を紹介している)

全ての人が2回目の入院のまま長期入院になるとは言えないが、欠陥状態の程度が1回目より酷い時、社会的な予後の悪さがそのまま疾患の予後の悪さに繋がっている。

これこそ、統合失調症の本来の古典的疾患性である。

もう30年以上入院しているのに、未だに自動車の免許更新に行く患者さんがいる。もちろんゴールド免許である。

これほど悲しいことはない。

過去ログでは、統合失調症の治療の際、幻聴や妄想は一刻も早く止めるべきとか、こういうのは時間がかかると予後が悪くなりやすいと言う記載が出てくる。

慢性的にドパミンが過剰になった状態が続くと、多分なにかしら不可逆性の神経毒性のある物質が増加し脳に悪影響を及ぼすのである。だからこそだが、一刻も早く症状を消退させるべきなのである。脳内の不均衡の延べ時間は予後に関係する。初回だから改善しやすいのは侵襲の時間がまだ短いこともたぶん関係がある。同じ理由で再発が良くないのはこの延べ時間が長くなるからだと思う。

しかし、このようなことは一般には器質性とは言わない。(これは内因性の正体に関係が深い)

ただ、現在、長期間統合失調症を患った人は、正常の脳と異なる病理所見がみられているのも事実であり、これらは内因性疾患を長期に患った結果である可能性が高い(私見。つまり二次的所見である)。

だから慢性期の統合失調症の人はあたかも認知症のように荒廃するし、器質性の色彩が見出せるのである。(過去ログでは急性期においても器質性色彩がみられると記載している。これも「内因性の正体」に関係している)

おそらくだが、昔の人は統合失調症には目には見えないものの、何かしら器質性と呼べる障害があり、医学の進歩を経て、いつかは器質性の正体が発見されるだろうと思っていたような気がする。それは統合失調症が「早発性痴呆」と呼ばれていたことを見てもわかる。

ところが、いつまで経っても統合失調症は内因性疾患のままだったのである。

さまざまな器質性疾患が知られるにつれ、統合失調症の人たちは真の器質性疾患とは根本的に異なる所見が多すぎると思う。

統合失調症の人の象徴的と呼べることは、全く病識がなく、薬がどのように効いており、どう言う風に良くなっているのかさっぱり実感できないのに、きちんと通院し服薬してくれるけなげさである。

(もちろんそうしない患者さんもいる。そのような人は予後不良である。近年の抗精神病薬が良くなっていることもあり「そのような人は江戸時代に生まれたのと変わりがない」と過去ログに記載している。)

参考
統合失調症の告知と予後
統合失調症に向き合うスタンスがないこと
デパスは統合失調症に効くのか?
ほんの30秒だけ続く被毒妄想