デパケンRと広汎性発達障害
広汎性発達障害の人には、デパケンR(バルプロ酸)が何らかの好影響を与えることが多い。
しかし、元々デパケンRは躁うつ病やてんかんの薬であり、広汎性発達障害の人への処方は適応外である。広汎性発達障害に適応がある薬物は限られている。(ADHDへのコンサータやストラテラなど)
つまり広汎性発達障害の人たちへの薬物療法は、ほとんどが適応外処方である。(参考)
広汎性発達障害の人は薬剤過敏性があることも稀ではなく、デパケンRが服用できない人もいる。倦怠感やめまいなどの副作用に耐えられないとか、最初は良かったが、次第に脱毛などの珍しい副作用が明瞭になり中止せざるを得ない場合もある(参考1、参考2)。稀に元々の精神症状を悪化させることすらある。
デパケンRが有効な場合、いったい何㎎服用すれば良いのかは謎である。実際に患者さんにより必要量は幅があるようにみえる。
だから、デパケンR、つまりバルプロ酸の血中濃度を測定し、それが有効血中濃度に至らなかったとしても、それだけでは何も意味しない。もし血中濃度がゼロに近かったら、ほとんど服用していないことがわかるだけだ。
実際、デパケンRを200㎎だけ服用しても、以前より実感がずっと良くなる人がいる。抑うつ気分や厭世観が少なくなるとか、持続的な希死念慮が弱まる人もみられる。漠然とした良くなった感覚だけで、これといった説明ができないこともある。
デパケンRは広汎性発達障害の双極性障害的要素より、むしろてんかん的要素を改善しているように思う。つまり内因性要素より器質性要素を改善する。
だから、絶対的なものではないが、広汎性発達障害にはリーマスよりデパケンRの方が適する確率が高い。(参考)
その人に適するデパケンRの量はなかなかわからない。そういう場合、何度か服用量を増やしたり減らしたりしていると、何かの拍子に、最低このくらいは必要と判明することもある。
楽に600㎎服用できる人は一度1000㎎~1200㎎まで試すべきだと思う。ある患者さんはそういう風に増減を繰り返していて、やっと1200㎎必要なことがわかった。
1200㎎服用することで、携帯電話の料金がかなり減った。それまで孤独感から、あちこちに電話をし過ぎていたのである。また睡眠薬が減り、昼間外出することが増えたという。
どこか遊びに出かけようかと思うようになりました。
と話していた。この患者さんはこれ以外にセロクエルやエビリファイなども服用している。
また、広汎性発達障害へのデパケンRは少ない量だとまあまあだが、多く服用しすぎるとかえって症状が悪くなることがある。これはデパケンRは高CPK血症や悪性症候群を生じうることと、たぶん関係がある。(参考1、参考2)
なんらかの原因で(特にアルコールや心停止)などで脳にダメージを受けたような人はデパケンRを服用するだけで、あたかもセレネースなどを服用したように鎮静的になり、抑うつ気分が出現したり、錐体外路症状が生じる人がいる。老人へのデパケンRも副作用が出やすい。
つまり広汎性発達障害の人たちにとって、平均すればデパケンRはやや重いんだと思う。(だからこそ、効果があるともいえる。)
広汎性発達障害は、デパケンRが必要な人でも適切な量を決めるのが難しい。それは、彼らの必要量は、双極性障害ともてんかんとも異なるからである。
またセロクエルやエビリファイなどの非定型抗精神病薬を併用する場合、デパケンRが少なくて済むということもある。だから、個々の人で全く異なるので、マニュアル化はできない。
少し意味が違うが、興味深い言葉がある。
ある人に合う靴も、別の人には窮屈である。あらゆるケースに適用する人生の秘訣などない。(ユング)
参考
デパケンR
デパケンRで髪の毛が抜ける副作用
デパケンRによる脱毛の薬物中止後の推移
広汎性発達障害に非定型抗精神病薬は適切なのか?
躁うつ病は減っているのか?
悪性症候群の謎
ECTによる治療と回復過程
しかし、元々デパケンRは躁うつ病やてんかんの薬であり、広汎性発達障害の人への処方は適応外である。広汎性発達障害に適応がある薬物は限られている。(ADHDへのコンサータやストラテラなど)
つまり広汎性発達障害の人たちへの薬物療法は、ほとんどが適応外処方である。(参考)
広汎性発達障害の人は薬剤過敏性があることも稀ではなく、デパケンRが服用できない人もいる。倦怠感やめまいなどの副作用に耐えられないとか、最初は良かったが、次第に脱毛などの珍しい副作用が明瞭になり中止せざるを得ない場合もある(参考1、参考2)。稀に元々の精神症状を悪化させることすらある。
デパケンRが有効な場合、いったい何㎎服用すれば良いのかは謎である。実際に患者さんにより必要量は幅があるようにみえる。
だから、デパケンR、つまりバルプロ酸の血中濃度を測定し、それが有効血中濃度に至らなかったとしても、それだけでは何も意味しない。もし血中濃度がゼロに近かったら、ほとんど服用していないことがわかるだけだ。
実際、デパケンRを200㎎だけ服用しても、以前より実感がずっと良くなる人がいる。抑うつ気分や厭世観が少なくなるとか、持続的な希死念慮が弱まる人もみられる。漠然とした良くなった感覚だけで、これといった説明ができないこともある。
デパケンRは広汎性発達障害の双極性障害的要素より、むしろてんかん的要素を改善しているように思う。つまり内因性要素より器質性要素を改善する。
だから、絶対的なものではないが、広汎性発達障害にはリーマスよりデパケンRの方が適する確率が高い。(参考)
その人に適するデパケンRの量はなかなかわからない。そういう場合、何度か服用量を増やしたり減らしたりしていると、何かの拍子に、最低このくらいは必要と判明することもある。
楽に600㎎服用できる人は一度1000㎎~1200㎎まで試すべきだと思う。ある患者さんはそういう風に増減を繰り返していて、やっと1200㎎必要なことがわかった。
1200㎎服用することで、携帯電話の料金がかなり減った。それまで孤独感から、あちこちに電話をし過ぎていたのである。また睡眠薬が減り、昼間外出することが増えたという。
どこか遊びに出かけようかと思うようになりました。
と話していた。この患者さんはこれ以外にセロクエルやエビリファイなども服用している。
また、広汎性発達障害へのデパケンRは少ない量だとまあまあだが、多く服用しすぎるとかえって症状が悪くなることがある。これはデパケンRは高CPK血症や悪性症候群を生じうることと、たぶん関係がある。(参考1、参考2)
なんらかの原因で(特にアルコールや心停止)などで脳にダメージを受けたような人はデパケンRを服用するだけで、あたかもセレネースなどを服用したように鎮静的になり、抑うつ気分が出現したり、錐体外路症状が生じる人がいる。老人へのデパケンRも副作用が出やすい。
つまり広汎性発達障害の人たちにとって、平均すればデパケンRはやや重いんだと思う。(だからこそ、効果があるともいえる。)
広汎性発達障害は、デパケンRが必要な人でも適切な量を決めるのが難しい。それは、彼らの必要量は、双極性障害ともてんかんとも異なるからである。
またセロクエルやエビリファイなどの非定型抗精神病薬を併用する場合、デパケンRが少なくて済むということもある。だから、個々の人で全く異なるので、マニュアル化はできない。
少し意味が違うが、興味深い言葉がある。
ある人に合う靴も、別の人には窮屈である。あらゆるケースに適用する人生の秘訣などない。(ユング)
参考
デパケンR
デパケンRで髪の毛が抜ける副作用
デパケンRによる脱毛の薬物中止後の推移
広汎性発達障害に非定型抗精神病薬は適切なのか?
躁うつ病は減っているのか?
悪性症候群の謎
ECTによる治療と回復過程