回転体 | kyupinの日記 気が向けば更新

回転体

たぶん1998年頃と思うが、あめぞうの掲示板で、ある住人に統合失調症の人の幻覚妄想で「回転体」というものがあるでしょう?などと質問されたことがあった。たぶん、その人は書物か何かで読んだことを確かめるために聞いたような気がする。「回転体」の他には、「きつね」がある(らしい)。

僕はその時、そういうのは聞いたことがないぞ、くらいに答えた。

本当に聞いた事がなかったからである。しかしその後数年して、そのような人に本当に遭遇したのである。彼はとても重い統合失調症の患者さんで一生退院できそうにないレベルだった。しかも対人関係が悪く、いつも孤立しており個室でないと生活できない。

しかし、すごく重い割に個室で処遇する限りは問題がないので開放病棟で様子をみていた。彼はフローリングのワンルームマンションのようなところで生活していたが、離院すればできるのに離院もしなかった。

ある日、彼を診察していたところ、険しい表情で、「身体の中に回転体があるので・・」という話が出てきた。その瞬間、あめぞうでの質問を思い出したのである。

回転体の話は彼以外では聞いた事がないが、これは荒唐無稽ではあるが、統合失調症的ではないような雰囲気はある。それは体感幻覚の色彩があるから。

統合失調症の人の奇妙な訴えの中では、「脳の真ん中に仕切りがある」というのがある。彼によれば、その仕切りで左右に分けられているというのである。僕はこれと全く同じ訴えをする患者を過去に3~4人診たことがあるが、確率的にも非常に珍しい訴えであるのは間違いない。

ここ7年くらいはこれらの訴えをする人たちを診ていないのだが、過去の経験では極めて薬物の反応が悪かったような記憶しかない。あのような症状は何か違った発想でないと治療が難しいような気がしている。

今度、ああいう人に会ったら、こういうことをやってみたいと言う気持ちはある。