幻聴があると不安になる
「幻聴があると不安になる」という訴えがある。
これ自体、何の変哲もない症状だが、精神科医的にはいろいろ考える事が多いのである。最初に言っておくが、このような言葉は統合失調症の人もそうでない人も訴えることがあるが、どちらかというと統合失調症っぽくはない。
まず、もう少し具体的に「幻聴があると、統合失調症にならないかと不安になる」と言う人がいる。これははっきりいってかなり統合失調症っぽくない症状ではある。
こういうタイプの人では幻聴があまり意味をなさないものの方が多い。例えば断片的な音であったり、単に「自分の名前を呼ばれる」くらいである。もちろん、後者の方が前者よりはやや統合失調症に近づくが、それでも遥かに統合失調症から離れている。結局、こういう所見よりは本人がどうかというのがずっと意味があるのだけど。
ある時期、このような訴えの青年を治療していたが、対人接触性は全然、統合失調症ではなかった。しかし、本人はこのまま自分が統合失調症になるのではないかと相当に不安だったようである。こういう風に本人が思うのは、やはり一般的に幻聴が統合失調症の代表的な症状とされていることが大きい。わりあい知られていることだからだ。
僕は今回のエントリと全く同じではないが、少し似た文脈で比喩を交えて「こういう流れでは普通は統合失調症にはならんでしょ」、くらいに説明していた。
時間が経ち寛解して退院していったが、これは、いったんは治癒なんだと思う。(ある種の精神疾患としては) その後の消息はすごく詳しくは知らないのだが、ある資格を取り、元気に働いているらしい。
本当の統合失調症の人はたぶんこのルートは取らないと思っている。(発病への道すじ)このような考え方は過去ログにも、コメント欄の質問のやりとりでもいくつか出てくる。
統合失調症の人で、幻聴が周期的に襲ってきて、その際に不安になる人もいる。その人は対人接触性が既に統合失調症といえるもので、不安になろうがなるまいが、統合失調症なのである。
しかし統合失調症の場合、そういう風に不安になる人より、そうでない人の方がむしろ多いように思うんだな。不安になるのはやや自我異和的なニュアンスになるからである。
元々、統合失調症の幻聴は自我異和的ではないので、「不安感」のような反応がどちらかというと生じにくい。もちろん世界没落体験などが絡むと、不安感を通り超えて恐怖感まで感じるので、このパターンだと十分に生じると言える。統合失調症の場合、所見として「内因性の不安感」みたいなものがあるので、不安感が全くないわけではないのだけど。
このように考えていくと、今回のエントリのタイトル「幻聴があると不安になる」という所見は「どちらかというと統合失調症っぽくはない」のがわかる。
参考
統合失調症の発病の謎
アスペルガーと前頭前野
パキシルは幻聴に効くのか?
レキソタン
これ自体、何の変哲もない症状だが、精神科医的にはいろいろ考える事が多いのである。最初に言っておくが、このような言葉は統合失調症の人もそうでない人も訴えることがあるが、どちらかというと統合失調症っぽくはない。
まず、もう少し具体的に「幻聴があると、統合失調症にならないかと不安になる」と言う人がいる。これははっきりいってかなり統合失調症っぽくない症状ではある。
こういうタイプの人では幻聴があまり意味をなさないものの方が多い。例えば断片的な音であったり、単に「自分の名前を呼ばれる」くらいである。もちろん、後者の方が前者よりはやや統合失調症に近づくが、それでも遥かに統合失調症から離れている。結局、こういう所見よりは本人がどうかというのがずっと意味があるのだけど。
ある時期、このような訴えの青年を治療していたが、対人接触性は全然、統合失調症ではなかった。しかし、本人はこのまま自分が統合失調症になるのではないかと相当に不安だったようである。こういう風に本人が思うのは、やはり一般的に幻聴が統合失調症の代表的な症状とされていることが大きい。わりあい知られていることだからだ。
僕は今回のエントリと全く同じではないが、少し似た文脈で比喩を交えて「こういう流れでは普通は統合失調症にはならんでしょ」、くらいに説明していた。
時間が経ち寛解して退院していったが、これは、いったんは治癒なんだと思う。(ある種の精神疾患としては) その後の消息はすごく詳しくは知らないのだが、ある資格を取り、元気に働いているらしい。
本当の統合失調症の人はたぶんこのルートは取らないと思っている。(発病への道すじ)このような考え方は過去ログにも、コメント欄の質問のやりとりでもいくつか出てくる。
統合失調症の人で、幻聴が周期的に襲ってきて、その際に不安になる人もいる。その人は対人接触性が既に統合失調症といえるもので、不安になろうがなるまいが、統合失調症なのである。
しかし統合失調症の場合、そういう風に不安になる人より、そうでない人の方がむしろ多いように思うんだな。不安になるのはやや自我異和的なニュアンスになるからである。
元々、統合失調症の幻聴は自我異和的ではないので、「不安感」のような反応がどちらかというと生じにくい。もちろん世界没落体験などが絡むと、不安感を通り超えて恐怖感まで感じるので、このパターンだと十分に生じると言える。統合失調症の場合、所見として「内因性の不安感」みたいなものがあるので、不安感が全くないわけではないのだけど。
このように考えていくと、今回のエントリのタイトル「幻聴があると不安になる」という所見は「どちらかというと統合失調症っぽくはない」のがわかる。
参考
統合失調症の発病の謎
アスペルガーと前頭前野
パキシルは幻聴に効くのか?
レキソタン