季節性嘔吐症? | kyupinの日記 気が向けば更新

季節性嘔吐症?

季節性に嘔気、嘔吐が激しくなり、それがしばらく続くような人がいる。今風に言えば、「身体表現性障害」に含まれるのであろう。直感的には症状性の疾患だと思う。「季節性」というのがちょっと矛盾するのであるが。

ある男性患者さんはそういう状態で初診し、毎日のように外来に来ていた。僕は当初はあまり診ていなかったが、ほぼ毎日来るので診察することが多くなった。普通、こういう患者さんはプリンペランを飲んだり筋注したりで良くなるなら、とっくに内科で解決している。

うちの病院ではプリンペランで改善しないのでコントミンを筋注していた。これでもその日はまあマシになるが、翌日は前の日に戻るのであった。

彼はいつも外来ではエビのように丸まって苦しんでおり、服装もパジャマ状態で来ていた。仕事どころの話ではないのである。

僕は当時、患者さんの家族関係が非定型精神病のそれに似ていることに注目していた。彼はおそらく症状性の精神障害で、気分安定化薬の追加で良くなるような感覚があったのである。

それにしても、毎日外来に来て、外来で吐かれるのも困る。吐く時の声もけっこう目立つからである。そのくせ入院はしないという。こちらの言うことをなかなかきかない頑固な性格なのであった。(参考

頼むから、外来で吐かないでくれ・・

といったところである。ある時、僕は、コントミンの効果の中途半端さから(有効なのは有効なのだが完治しないこと)ベゲタミンBを処方すれば良くなるのではないかと思った。そしてこのようなシンプルな処方にしたのである。

ベゲタミンB  2T
(ベゲタミンBを朝夕、2回に分け服用)


すると、急に彼は来なくなった。翌週、彼は再診したのであるが、外来の看護師さんが、

先生、○○さん、今日はスーツを着て来られていますよ。

と言った。どうもあの処方で、彼の嘔吐発作みたいな症状は速やかに消失したようなのであった。

さすが、神の薬。
僕の願いが通じたな・・


と思った。(参考

(おわり)

ただ、この話には続きがある。なぜなら彼は1ヶ月ほどで来なくなったが、ちょうど1年後に再発してやって来たからである。(実はこの時、彼は季節性疾患であることを発見したのだった。)