発病後40年
もう発病後40年ほど経っている女性患者さんが外来通院している。今60歳くらいだが、ずいぶんと元気だ。いつもけっこう綺麗な服装でやってくるし、今は仕事も引退して悠々自適だ。
彼女の診断は統合失調症であるが、パーソナリティが典型的ではない。決して内向的ではなく比較的誰とでも良く話すし活発な人だ。ずっと両親の仕事の手伝いなどをしていたので、わりあい環境には恵まれていたといえる。最近はコンサートめぐりというか、追っかけでもないが特定のミュージシャンのコンサートに出かけているらしい。
彼女の場合、陰性症状もほとんどないのである。こう聞くと統合失調症であったかどうかさえ疑わしいと思う人もいるかもしれない。僕は「非定型精神病」とまでは言わないが、そういう要素がある統合失調症だと思った。こんな人でも統合失調症は統合失調症なのである。
僕が診始めてから約7年半であるが、その期間、陽性症状の再燃やうつ状態を呈したなんてことは全然なかった。ただ、なんとなく元気がない時期はあったような気がする。安定度はかなり高いといえた。
薬物療法はプロピタン100mgだけだ。これ以外は高脂血症の薬くらいしか処方していない。眠剤は不眠がないので必要がない。プロピタンの等価換算だが、セレネース1mgに相当するので、まあこういう人もいてもおかしくはないと言ったところ。
統合失調症で、特にこのように長く治療している人たちだが、一緒に話をしていると、なぜかほっとするところがある。このような感覚が精神科医らしいと思っている。実はそういうのも診断の根拠の一部なのである。調子が悪いときはどんな風にしていますか?と聞いてみた。
「嫌なことがあると、音楽を聴いたりします。」
「島唄です。」「島唄を聞いていると心が安らいで来ます」
と彼女は答えた。彼女は調子が悪くなると変に潔癖になったりするらしい。それでも、なんとなく症状を軽減する方法を知っているのである。服薬はしているが彼女は既に治癒しているに等しいと思った。
ところで彼女の生命的予後であるが、かなり長生きされるのではないかと思っている。少なくとも女性の平均寿命は超えるような気がしている。その理由は、彼女の母親は90歳を軽く超えるほど長生きされたからだ。元々、統合失調症の人は重大な疾患に強いし、この人に限ればタバコも吸わず酒も飲まず今まで暴飲暴食をした履歴がない。
そんな風に思いをめぐらせつつ、診察をしていた。
参考
プロピタン
乳癌全身転移
女の厄年
彼女の診断は統合失調症であるが、パーソナリティが典型的ではない。決して内向的ではなく比較的誰とでも良く話すし活発な人だ。ずっと両親の仕事の手伝いなどをしていたので、わりあい環境には恵まれていたといえる。最近はコンサートめぐりというか、追っかけでもないが特定のミュージシャンのコンサートに出かけているらしい。
彼女の場合、陰性症状もほとんどないのである。こう聞くと統合失調症であったかどうかさえ疑わしいと思う人もいるかもしれない。僕は「非定型精神病」とまでは言わないが、そういう要素がある統合失調症だと思った。こんな人でも統合失調症は統合失調症なのである。
僕が診始めてから約7年半であるが、その期間、陽性症状の再燃やうつ状態を呈したなんてことは全然なかった。ただ、なんとなく元気がない時期はあったような気がする。安定度はかなり高いといえた。
薬物療法はプロピタン100mgだけだ。これ以外は高脂血症の薬くらいしか処方していない。眠剤は不眠がないので必要がない。プロピタンの等価換算だが、セレネース1mgに相当するので、まあこういう人もいてもおかしくはないと言ったところ。
統合失調症で、特にこのように長く治療している人たちだが、一緒に話をしていると、なぜかほっとするところがある。このような感覚が精神科医らしいと思っている。実はそういうのも診断の根拠の一部なのである。調子が悪いときはどんな風にしていますか?と聞いてみた。
「嫌なことがあると、音楽を聴いたりします。」
「島唄です。」「島唄を聞いていると心が安らいで来ます」
と彼女は答えた。彼女は調子が悪くなると変に潔癖になったりするらしい。それでも、なんとなく症状を軽減する方法を知っているのである。服薬はしているが彼女は既に治癒しているに等しいと思った。
ところで彼女の生命的予後であるが、かなり長生きされるのではないかと思っている。少なくとも女性の平均寿命は超えるような気がしている。その理由は、彼女の母親は90歳を軽く超えるほど長生きされたからだ。元々、統合失調症の人は重大な疾患に強いし、この人に限ればタバコも吸わず酒も飲まず今まで暴飲暴食をした履歴がない。
そんな風に思いをめぐらせつつ、診察をしていた。
参考
プロピタン
乳癌全身転移
女の厄年