早狩 実紀さん
今日から大阪で世界陸上が始まっている。暑さも考慮されているのであろう、最初の競技が「男子マラソン」であった。今朝、起きた時、もうマラソンは終わろうとしていた。男子の結果としてはまああんなもんだと思う。妥当な結果と言えた。
実は、僕は陸上競技もけっこうファンであり、以前は毎月、「陸上競技マガジン」と、「月刊陸上競技」の2誌を購読しているほどであった。大学病院に勤めていた頃は精神科雑誌とともにこの2誌も生協から届けられ、僕の机の上に一緒に並べられていた。これを先輩のドクターが面白がり、こんな雑誌は定期購読する人が非常に限られているので、きっとこの雑誌社を僕が買い支えているよ、などと言って冷やかされていた。
当時、男子マラソンの歴代十傑の名前とタイムはすべて暗記していた。大学あるいは研修医時代は、謎のマラソンランナー、スティーブ・ジョーンズが世界1位だったような気がする。彼はイギリス空軍の兵士であり、出場レースが少なかった上に日本にも来たことがなく、まさしく謎のランナーと言えた。
当時、都道府県対抗女子駅伝も興味を持って観ていた。当時、「月刊陸上競技」の論文では、都道府県対抗女子駅伝でエース的な活躍をした選手が、その後成長して世界陸上やオリンピックで活躍するようにならないことが問題視されていた。女子の場合、世界陸上やオリンピックで活躍する選手は、都道府県対抗女子駅伝に出ていなかったか、あるいは出たとしても平凡な成績の選手がむしろ多かったのである。これは今でもそのような傾向がある。
当時の議論ではいろいろ言われていたが、個人的には陸上競技選手として早熟か晩熟かが大きいのではないかと思っていた。サッカーを始め、スポーツには必ずそういう面がある。
論文的には、
①陸上の女子中長距離の選手は、メンタルの面で問題を抱えるケースもみられ、長く競技を続けられない場合もある。
②早いうちにロードを走る上に、あまりに競技会が多いので怪我に悩まされる。
などが上げられていたような気がする。実際に摂食障害のため一時競技が続けられなくなり、後に復活して活躍したというドキュメンタリー的な話もあった。(神奈川の田村選手のように)
怪我についてだが、日本の場合、長距離の人気が高すぎて早くから長い距離を走り過ぎることが大きいような気がしている。本当は中学生はトラックで800mくらい、せいぜい1500mまでの競技に留める方が良い。成長期にまだ骨や軟骨が発達している時に、アスファルトの上を長く走ったら医学的にも良いはずはない。
現在、都道府県対抗女子駅伝で中学生は3000m区間に限定配置されているが、これだって長すぎる。中学生の身体に良いはずはないと思っている。この駅伝が始まった頃は1万m区間に中学生が走っていたことさえあった。結局、わりあい早熟で超人的選手は、中学校から高校時代に使い減りしている面があるのだ。早熟だけでなく、競技の外傷のために将来性を摘み取っている面が相当にある。
メンタルヘルスと陸上競技の関係は非常に興味深い。もともと、性格的にもすぐに眠くなって粘りが効かないような選手は中長距離に向かない。非常に頑張りが利き、しかも負けず嫌いで芯が強い子が陸上競技を嗜好するような気がしている。また駅伝競技は団体戦なので、自分の不調は全員に迷惑をかけるため、自分の不調だけでレースを諦められない。責任感が必要だし実際そのような子が多い。こう書いていくと、駅伝は本当に日本人受けするというか、心に響く競技なのだと思う。心理的なことばかり言っているが、もちろん心肺機能が優れていることが必須である。日本人はより長距離になるほど特性が生かせるので、長距離にばかり傾倒するのもわかるのだが。
こんな風に考えていくと、いわゆる古典的な摂食障害になりやすいパーソナリティと陸上競技選手のパーソナリティは相当かぶっている。僕が疑問に思っているのは、こういう長時間走ることが、後天的にメンタルヘルスに悪影響を及ぼすかどうかである。いわゆるニワトリとタマゴの問題。
一般にパニック障害などは、運動をすると発作を惹起することがある。例えば、カフェインなどは悪化させる物質なので、パニック障害の人はカフェインを含むもの、例えばコーラ、コーヒーなどは避けた方が良いとされている。このようなパニックの元、パニコーゲンは、血液の酸塩基平衡も含まれるので、「走ること」は悪化する要因にはなるのである。
近年、実は、都道府県対抗女性駅伝は滅多に見ないし、また雑誌も講読していない。昔よく観ていた頃だが、まだ中学生だった早狩実紀選手が京都の選手として駅伝を走っていた。初めて出たそのレースでは、前半飛ばして後半バテたため成績的には区間1位とかそのような良い成績ではなかった。
僕がまだ覚えている理由は、彼女はその中学生時代はあたかも摂食障害のようにガリガリの体型だったからである。彼女はその後成長して、今でも駅伝ではエース級の活躍をしているし体型的にもかつてのような様子ではない。今回、世界陸上ではなんと3000m障害の日本代表として出場しているのである。3000m障害の日本記録を持っていて「女王」と言われているらしい。本当に早狩実紀はすごいよ。このように早い時期から出て世界陸上まで出場することは、上に今まで書いてきた理由で非常に難しいからだ。
今朝、3000m障害の予選が行われ、第1組で出場していた。4位までに入らないと決勝に進めないわけだが、けっこう頑張っていたけど、8位前後でフィニッシュするような感じであった。ずっとテレビでレース観戦していたのであるが、最終周、ハードルに躓き転倒し後頭部を打撲、動けなくなったのである。
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
結局、棄権になってしまったが、僕が観た範囲では脊損するとかそういう事故ではなかった。あのくらいだと脳挫傷の確率も相当低いので、たぶん脳震盪くらいだと思う。転倒の原因として予選落ちは必至になっていたことが心理的に影響していたのかもしれない。
ああいう選手を見ていると、一介の日本人選手がただ走っているようには僕には思えないのよね。なんというか、親が子供の出場を見守っている気持とでも言えようか。今回は、残念な結果になったが、来年は北京オリンピックがあるので出場できるようにまた頑張ってほしい。
参考
カフェインとパニック障害
早狩 実紀さんのブログ
実は、僕は陸上競技もけっこうファンであり、以前は毎月、「陸上競技マガジン」と、「月刊陸上競技」の2誌を購読しているほどであった。大学病院に勤めていた頃は精神科雑誌とともにこの2誌も生協から届けられ、僕の机の上に一緒に並べられていた。これを先輩のドクターが面白がり、こんな雑誌は定期購読する人が非常に限られているので、きっとこの雑誌社を僕が買い支えているよ、などと言って冷やかされていた。
当時、男子マラソンの歴代十傑の名前とタイムはすべて暗記していた。大学あるいは研修医時代は、謎のマラソンランナー、スティーブ・ジョーンズが世界1位だったような気がする。彼はイギリス空軍の兵士であり、出場レースが少なかった上に日本にも来たことがなく、まさしく謎のランナーと言えた。
当時、都道府県対抗女子駅伝も興味を持って観ていた。当時、「月刊陸上競技」の論文では、都道府県対抗女子駅伝でエース的な活躍をした選手が、その後成長して世界陸上やオリンピックで活躍するようにならないことが問題視されていた。女子の場合、世界陸上やオリンピックで活躍する選手は、都道府県対抗女子駅伝に出ていなかったか、あるいは出たとしても平凡な成績の選手がむしろ多かったのである。これは今でもそのような傾向がある。
当時の議論ではいろいろ言われていたが、個人的には陸上競技選手として早熟か晩熟かが大きいのではないかと思っていた。サッカーを始め、スポーツには必ずそういう面がある。
論文的には、
①陸上の女子中長距離の選手は、メンタルの面で問題を抱えるケースもみられ、長く競技を続けられない場合もある。
②早いうちにロードを走る上に、あまりに競技会が多いので怪我に悩まされる。
などが上げられていたような気がする。実際に摂食障害のため一時競技が続けられなくなり、後に復活して活躍したというドキュメンタリー的な話もあった。(神奈川の田村選手のように)
怪我についてだが、日本の場合、長距離の人気が高すぎて早くから長い距離を走り過ぎることが大きいような気がしている。本当は中学生はトラックで800mくらい、せいぜい1500mまでの競技に留める方が良い。成長期にまだ骨や軟骨が発達している時に、アスファルトの上を長く走ったら医学的にも良いはずはない。
現在、都道府県対抗女子駅伝で中学生は3000m区間に限定配置されているが、これだって長すぎる。中学生の身体に良いはずはないと思っている。この駅伝が始まった頃は1万m区間に中学生が走っていたことさえあった。結局、わりあい早熟で超人的選手は、中学校から高校時代に使い減りしている面があるのだ。早熟だけでなく、競技の外傷のために将来性を摘み取っている面が相当にある。
メンタルヘルスと陸上競技の関係は非常に興味深い。もともと、性格的にもすぐに眠くなって粘りが効かないような選手は中長距離に向かない。非常に頑張りが利き、しかも負けず嫌いで芯が強い子が陸上競技を嗜好するような気がしている。また駅伝競技は団体戦なので、自分の不調は全員に迷惑をかけるため、自分の不調だけでレースを諦められない。責任感が必要だし実際そのような子が多い。こう書いていくと、駅伝は本当に日本人受けするというか、心に響く競技なのだと思う。心理的なことばかり言っているが、もちろん心肺機能が優れていることが必須である。日本人はより長距離になるほど特性が生かせるので、長距離にばかり傾倒するのもわかるのだが。
こんな風に考えていくと、いわゆる古典的な摂食障害になりやすいパーソナリティと陸上競技選手のパーソナリティは相当かぶっている。僕が疑問に思っているのは、こういう長時間走ることが、後天的にメンタルヘルスに悪影響を及ぼすかどうかである。いわゆるニワトリとタマゴの問題。
一般にパニック障害などは、運動をすると発作を惹起することがある。例えば、カフェインなどは悪化させる物質なので、パニック障害の人はカフェインを含むもの、例えばコーラ、コーヒーなどは避けた方が良いとされている。このようなパニックの元、パニコーゲンは、血液の酸塩基平衡も含まれるので、「走ること」は悪化する要因にはなるのである。
近年、実は、都道府県対抗女性駅伝は滅多に見ないし、また雑誌も講読していない。昔よく観ていた頃だが、まだ中学生だった早狩実紀選手が京都の選手として駅伝を走っていた。初めて出たそのレースでは、前半飛ばして後半バテたため成績的には区間1位とかそのような良い成績ではなかった。
僕がまだ覚えている理由は、彼女はその中学生時代はあたかも摂食障害のようにガリガリの体型だったからである。彼女はその後成長して、今でも駅伝ではエース級の活躍をしているし体型的にもかつてのような様子ではない。今回、世界陸上ではなんと3000m障害の日本代表として出場しているのである。3000m障害の日本記録を持っていて「女王」と言われているらしい。本当に早狩実紀はすごいよ。このように早い時期から出て世界陸上まで出場することは、上に今まで書いてきた理由で非常に難しいからだ。
今朝、3000m障害の予選が行われ、第1組で出場していた。4位までに入らないと決勝に進めないわけだが、けっこう頑張っていたけど、8位前後でフィニッシュするような感じであった。ずっとテレビでレース観戦していたのであるが、最終周、ハードルに躓き転倒し後頭部を打撲、動けなくなったのである。
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
結局、棄権になってしまったが、僕が観た範囲では脊損するとかそういう事故ではなかった。あのくらいだと脳挫傷の確率も相当低いので、たぶん脳震盪くらいだと思う。転倒の原因として予選落ちは必至になっていたことが心理的に影響していたのかもしれない。
ああいう選手を見ていると、一介の日本人選手がただ走っているようには僕には思えないのよね。なんというか、親が子供の出場を見守っている気持とでも言えようか。今回は、残念な結果になったが、来年は北京オリンピックがあるので出場できるようにまた頑張ってほしい。
参考
カフェインとパニック障害
早狩 実紀さんのブログ