28日目に突然改善した人 | kyupinの日記 気が向けば更新

28日目に突然改善した人

2000年以前に1人の重い女性患者を治療していたことがあった。その人は、内因性と言うより神経症性のうつ状態で難治だった。内因性と神経症性の真ん中より少し神経症的だったかもしれない。なんだそりゃ?だけど。

当時、彼女以上に難治な患者は診たことがなかった。

あまりにもうまく行かない上、本人も良くなりたいという気持が強かったので、ECTを薦めた。ところが、麻酔下ECTでけっこう良くなるけど、時間が経つと失速し永遠には良くならない。定期的に際限なくECTをするのは現実的ではないし、そういうのはこっちが嫌なのだ。何か効果的な薬を使わないと長期のコントロールは難しいと言えた。

この人、一度ゾロフトを処方していた時、28日目に突然改善したことがあった。それも不連続に、突然、霧が晴れたように改善したのだ。当時、SSRIは効果の発現が遅いと聞いてはいたが、こういうこともあるのかと妙な感慨があったものだ。

今から考えると、SSRIは効果の発現が遅いとはいえ、そういうパターンで良くなることはあまり見たことがない。あれは何なんだったんだ?

この人、いったん僕の手を離れていたが、5年以上経って再会。うちの病院にひょっこりやってきた。

今の治療だけど、ノリトレンとレスリンを処方している。ノリトレンは100mgでレスリンは就前に75mg。うちの病院で再会した当時よりはずっと良い。あっさりこんな風に言っているけど、いろいろな薬を順列組み合わせで試していってやっとこの処方になった。

この人に限って言えば、デパケンをRを使うとか、リボトリールを使うとか、そんな細かいワザはかえってマイナスなのである。ノリトレンにしても単剤で150mg使うより、少し減らしてレスリンを組み合わせた方が、眠りが少し良くなる。うつ状態に関しては100mgも150mgも変わらない。やりすぎるとイライラ感や攻撃性が酷くなるので良くない。

今の症状は、元気はまあまああるけど意欲はないといったところ。お買い物など外出はできる。結局は、ノリトレンがベストだったのである。(完全に良くなってないのでベストは変だけど)