なぜ自殺が良くないのか | kyupinの日記 気が向けば更新

なぜ自殺が良くないのか

これは2000年頃にウエブにアップした日記から。

200投稿者:kyupin  投稿日:09月02日(土) 02時40分52秒

電気ショック療法については、のべで言えばかなりの回数実施したことがあって、いろいろ不思議な経験がある。

あるとき、整形外科から紹介されたインテリの女性患者は首吊り自殺をして偶然失敗していた。初診時、紐かロープで擦れた首の発赤がナマナマしかった。診断はいわゆる内因性うつ病であった。この患者さん、精神科病棟に入院させても隙があれば自殺を企てるというように一時も油断のできない状態で、薬物療法が間に合わなかった。

夫と相談して、電気ショックを行うことにした。そのころは全身麻酔下でせず、旧来の方法だった。電気ショック療法を行うと全身けいれんが起こり、その後しばらく呼吸停止がみられるが、その人はこちらが心配になって来るほど呼吸停止が長かった。

1分10秒を越えていたと思う。しかし、なんとか呼吸が回復し無事終わった。旧来の方法で呼吸停止が1分をオーバーするのは稀だ。

驚いたことに、1回の治療で治ったのだ。この後、ずっと経過観察していたが少なくとも観察していた8年間に再発もなく薬も全く服用していなかったので、一応完治といって良いと思う。あの人は性格が循環気質で条件が良かったのだと思う。それに旧来の方法で呼吸停止時間が異常に長い人は有効率が高い傾向がある。

なぜ自殺がいけないかと言えば、「自殺したい」という気持ちは本来、客観性が乏しいからだ。患者本人の「主観」ということだ。しかし、本人はそれを洞察できない。体の倦怠感、抑うつ気分、悲観、厭世観から自殺企図が起こる。そのような精神症状により、幻惑されて自殺しようかと考える。もし鬱がよくなり、そういった厭世観が消えてしまえば、自殺するなんて思わない。

だから精神状態が悪い時に自殺すべきでないのは当然だ。

自殺のことしか考えなかったような人が治療を受け回復し、数ヶ月後にホームページを立ち上げ、ネット販売を始めるなんてことすらあるので、いかにその主観があてにならないかわかる。

補足
この患者さんについてだが、偶然、病院職員の知人だったため、服薬、通院がなくてもその後の様子がよくわかった面がある。今、外来で服薬している人でも薬をやめてもこの人と同じような経過になる人も何人かいるような気がしている。内因性うつ病の場合、ある意味ピュアなので、そうでないうつ状態より改善しやすいし、対処しやすいところはあると思う。ただ自殺が怖いだけだ。

参考
うつ病と自殺
ハルシオン
精神症状身体化の謎