幻覚も妄想もない統合失調症 | kyupinの日記 気が向けば更新

幻覚も妄想もない統合失調症

いつも僕のブログを読んでいると、幻覚妄想は統合失調症の診断には重要ではないような感覚に陥る人もいるかもしれない。実は、幻覚、被害妄想は、その診断に必要でも十分でもない関係になっている。幻覚妄想が重要ではないわけでは決してない。幻覚妄想は疾患特異性がわりあい低いだけである。

僕は普通の精神科医よりも統合失調症の範囲がやや広いと自覚している。

そういうこともあり、他の精神科医だと統合失調症と診断されない可能性もあるので、告知しないという面も確かにある。まだ駆け出しの頃、どこの病院に移動しても非常に統合失調症の患者さんが多いので、この地域はとりわけ多いのではないかと思った。ところが、どこの病院に行っても同じことを感じた。

僕は、若い頃、これほどの疾患が、このような桁違いの頻度で発生していることが不思議でたまらなかった。

なんと、0.8%も出現するのである。

これは、若くから発生する慢性病にしては高すぎる。たぶんこの頻度は昔から変わっていないと思うが、最近は軽症化していたり、何か他の疾患に扮装しているケースも増えているので、減っていると錯覚する人もいるかもしれない。研修医時代に統合失調症と診断して抗精神病薬治療を行っていない場合、教授に叱責された。もしそう思っていないなら仕方がないが、そう思っていてしないのは治療としては失敗なのである。

時々、幻覚も妄想もないのに、統合失調症としか思えない患者さんに遭遇する。そう多い頻度ではないけど。こういう人は、陰性症状だけなんだけど、確かに統合失調症なのである。若い頃、総合病院で働いている時、そういう風に思ったとき、上の先生に診断を確認するために診てもらったことが数回ある。

しかし、診断はやはり統合失調症であった。

ただ、こういう人は薬が何も合わないケースもあった。つまり「副作用が出るだけ」と言った感じである。こういう人は長期に診ていると、だんだん社会的な能力が落ちていく傾向はみられた。つまりやがて無為になってしまうのである。当時に比べ、そういう人に対して良さそうな薬が増えてきている。以前は、クロフェクトンやPZCなどの賦活系を処方してダメだったら良い方法がなかった。例え電撃療法をしても、良くなるような気がしないのだ。今は、非定型抗精神病薬でうまくいくケースも増えているように思う。

ところで、僕は統合失調症の頻度は紀元前より変わっていないと思うけど、そんな風に言うなら、いったい何千年、いや何万年前から発生したんだという疑問はある。

クロマニヨン人は統合失調症があったのか?

北京原人はひょっとしたらあったのかも?

と思ったりする。