バカヤロウ
この話は、僕が何歳の時、聞いたものかもう記憶がない。たぶん24歳か25歳であったと思う。確か耳鼻咽喉科の手術現場だったように思うが、どうも僕は当事者ではなかったようなのだ。ポリクリの学生たちが何人かいて、僕もそこにいたのだが、そのとき僕は学生ではなかった。かといって、そこになぜいたのかどうしても思い出せない。ひょっとしたら、その年配の女性患者さんの精神科主治医が僕の友人で、彼が手術につけないので代わりにいた、そんな感じだったのかもしれない。
その手術は上咽頭癌か何かの手術で、病期的に予後不良で、もう手術しても無駄といえるようなものであった。彼女の場合、以前に1回手術しており、その再発だった。そういう説明を教官だったか、教授だったかしていたときのこと。ポリクリ学生の誰かが言った。
「なぜ、最初から全部取らなかったんですか?」
すると教授が突然、
「今、誰が言ったんだ!」
と急に怒りはじめた。ある学生が「僕です」と阿呆のように手を上げた。
「バカヤロウ! 女性が顔を取られるというのが、どういうことかわかってるのか?」
と言ったのである。たぶんもう手遅れだったので、初回の手術で癌の一部を残して延命し、もうこれ以上は無理なので最後の手術をしているような状況だったと思われる。この教授の言葉だが、まさか「バカヤロウ」なんて言葉を手術中に聞くことになるなんて思わなかった。僕はその言葉に非常に驚いたのである。
この叱りつけた真意は、たぶんクオリティ・オブ・ライフということなんだろうと思う。
その手術は上咽頭癌か何かの手術で、病期的に予後不良で、もう手術しても無駄といえるようなものであった。彼女の場合、以前に1回手術しており、その再発だった。そういう説明を教官だったか、教授だったかしていたときのこと。ポリクリ学生の誰かが言った。
「なぜ、最初から全部取らなかったんですか?」
すると教授が突然、
「今、誰が言ったんだ!」
と急に怒りはじめた。ある学生が「僕です」と阿呆のように手を上げた。
「バカヤロウ! 女性が顔を取られるというのが、どういうことかわかってるのか?」
と言ったのである。たぶんもう手遅れだったので、初回の手術で癌の一部を残して延命し、もうこれ以上は無理なので最後の手術をしているような状況だったと思われる。この教授の言葉だが、まさか「バカヤロウ」なんて言葉を手術中に聞くことになるなんて思わなかった。僕はその言葉に非常に驚いたのである。
この叱りつけた真意は、たぶんクオリティ・オブ・ライフということなんだろうと思う。