ジプレキサザイディスと飲料水 | kyupinの日記 気が向けば更新

ジプレキサザイディスと飲料水

ジプレキサザイディスは口内にいれると速やかに溶けるが、これすら服用しようとしない患者さんがいる。最近、入院してきた統合失調症の男性患者さんだけど、興奮状態になって保護室に入れたまでは良いけど、全然薬を飲まなかった。

水は取るのでこれに溶かすことを考えたが、ジプレキサザイディスは甘みがあるので、たぶんばれてしまうと思った。色もちょっと黄色が入っているし。もっとねっとりした飲料、例えばトマトジュースなら溶かしてしまえばトマトの色に紛れてわからないのではないかと思った。

そこで、トマトジュースとジプレキサザイディスのカクテルを作ってみた。いざトマトジュースに入れてみると、全然溶解しないのよね。まばらに黄色い破片が小さく見えて、疑いの目で見るとすぐに判る感じ。しかし、頑張ってなんとかすり潰すようにして、できる限りわからないようにしてみた。

見てみると、まばらに黄色い破片が紛れて見える。ちょっと変は変。

うちの病院では、ジプレキサザイディスは5mg錠しか置いていない。これまでの経過からして、最高量、つまり20mg使わないと話にならない気がしていた。

このトマトジュースをどのくらいの量にするかが難しいところで、少ないと疎らな黄色い色が目立ってしまうし、多いと色は目立たなくなるけど、患者さんが途中で飲むのをやめてしまうかもしれない。

病棟婦長(正確には今は師長という)さんは少なめの量にする方が良いと主張した。

しかし僕の考えで、思い切ってケチらずにトマトジュースはコップ1杯の量にしたのである。(これは、最悪、半分でも入れば良いと思ったことと、万一疑われた場合、明日以降、水分すら摂らなくなると痛手が大きすぎると思ったことがある)

その患者さん、その日はなんとか全部飲んだ。

ジプレキサザイディスの飲料水への溶解については、イーライ・リリーは薬効保証出来ないため推奨はしていない。もともと口腔内溶解錠のため、リスパダール液に比べそういう想定はしていないのであろう。

ジプレキサザイディスの飲料水に溶解した際の安定性について、アメリカで研究があり、大雑把に言うと炭酸飲料以外では6時間は安定しているらしい(化合物として安定しているだけで、薬効の変化はわからないという)。

一方、コーラなどについては、力価の低下、沈殿物が出現するらしい。こういうこともあり、ジプレキサザイディスを飲料水に溶解する場合、炭酸飲料は避けた方が良いといえそうだ。

だいたいリスパダールと比べ、そういう風にしなければならない状況は少ないと思うけどね。

最初のトマトジュースの患者さん、結局3日ほどトマトジュースカクテルで飲んだが、その後は自分で服用するようになった。1~2週間かかったけど、ジプレキサで圧倒的に良くなったのである。今は10mgまで減量している。これ以外は睡眠薬だけだ。

著しい興奮状態では、ジプレキサ5mgとかだと、ろくなことにならない。少量だとかえって興奮状態を煽ってしまうところがあるから。どんと20mg使った方が鎮静がかかり、有効性も高くなるし自殺などの変な事故がむしろ少なくなるような気がしている。

とてつもない興奮状態で、20mgのジプレキサを投与し、なおかつジプレキサが合わなかった場合、さらに大変なことになる。これは興奮の内容が投与前と少し変わるからである。これはいつも同じ患者さんを見ていると雰囲気で判る。

20mg処方して悪ければ1日~2日で中止すればよい。5mgとか少ない量だと良い悪いかさえ判別しにくいため、数日ジプレキサを続けてしまい対処が遅れる。こんなこともあるのである。

参考
ジプレキサ
非定型抗精神病薬の病状悪化率
24年ぶりの退院