エビリファイと妊娠 | kyupinの日記 気が向けば更新

エビリファイと妊娠

アメリカでは、FDAが個々の薬物の妊娠に対するリスクのランキングを公表している。このランキングにより、現在、薬物にどの程度の催奇形性リスクが存在するかがわかるようになっている。(A、B、C、D、Xの順で、後ろほどリスクが高い。Xは禁忌)

向精神薬の場合、定石的なものがあり大雑把に言うと、

① 抗不安薬・・・・・リスクがわりあい高い。(おおむねD)
② 睡眠薬・・・・・・リスクが高い(おおむねDかX。例外的にマイスリーはリスクが低い(C))
③ 3環系抗うつ剤・・近年、ランキングが下がり、リスクがわりあい高いものが多い
④ 4環系抗うつ剤・・リスクが低いか普通
⑤ SSRI・・・・・・・プロザック、ジェイゾロフト、デプロメールは中程度(C)。パキシルは例外的にリスクがわりあい高い(D)。
⑥ 古いタイプの抗精神病薬・・・中ぐらい
⑦ 非定型抗精神病薬・・・・・・中ぐらい
⑧ 抗てんかん薬・・・・・・・・リスクがわりあい高い。(ほぼすべてがD)
⑨ 気分安定化薬・・・・・・・・リスクがわりあい高い。(ほぼすべてがD)
⑩抗パーキンソン薬・・・・・・・・・中ぐらい(Cが多い)


という感じである。われながらバカっぽい書き方になってしまった。エントリで書かない理由は、新しい知見があるとすぐランキングが変わってしまうことがある。書いた内容がすぐ嘘になってしまうから。エビリファイはFDAにより「C」カテゴリーに分類されている。

【C】
動物生殖試験では胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいは、ヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。注意が必要であるが投薬のベネフィットがリスクを上回る可能性はある(ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること)。

Cは上のような感じだが、向精神薬ではこれより評価が良いものがめったにないので、これでもわりあい良いほうに入る。リスクは中ぐらいと言ったところ。上の大雑把な書き方で、中ぐらいとか普通はC程度を意味している。ちなみにアルコールの評価はDで、エビリファイよりもリスクが高い。

本邦で既発売の非定型抗精神病薬では
リスパダール  C
ジプレキサ    C
セロクエル    C
エビリファイ   C

とリスクに差がないように記載されている。(ルーランは未発売)

エビリファイはまだ発売後、年数があまりないため、集められたデータは限られている。FDA承認申請時点ではエビリファイ服用例7例が妊娠に至ったと特定された。これら7例のうち、3例では患者の選択により妊娠中絶を実施。2例は外観上明らかに健康な新生児を正常分娩し、1例は子宮外妊娠であったが、残り1例は追跡できなかったため結果は不明とされている。現時点で、エビリファイを妊娠女性に投与した際に胎児に障害を及ぼすかどうか、また生殖能力に影響するかどうかは不明である。

結局、エビリファイの妊娠におけるリスクはまだよくわかっていない。「エビリファイは、妊娠中の女性には胎児に及ぼす危険性より有用性が重要であると判断される場合にのみ使用されるべきである」

(この書き込みの内容について、僕はいかなる責任も負いません)

赤の部分を2007年7月16日に訂正しています。

読者さんの指摘により、マイスリーのリスクをBからCに訂正しています。(2009年1月18日)