レスリン
一般名:トラゾドン
(=デジレル)
1991年に発売されたトリアゾロピリジン由来の抗うつ剤。いくらか抗うつ作用があると言われるソラナックス(コンスタン)と同様のトリアゾール環構造を持つ。従って、レスリンは3環系、4環系いずれのカテゴリーにも入っていない。レスリンは日本オルガノン、デジレルはかつてはアップジョンから発売されていたが、現在はファイザーが扱っている。25mgと50mgの剤型があり、円形で白い形状で、なぜか25mgにはXD1、50mgはXD2と書かれている。裏にはORGANONという会社名の刻印がある。薬価は50mgで40円くらいであり、3環系抗うつ剤より高価と思う。それでもアンデプレというジェネリックも発売されているので、わりあい売れているんだろうなと思ったりする。ジェネリックは薬価は半額くらいである。レスリンは最高200mgまで処方可能。効能・効果はうつ病、うつ状態である。
レスリンの半減期は6~11時間。肝臓で代謝され代謝酵素はCYP2D6が関与する。レスリンは、選択的セロトニン再取り込み阻害作用により抗うつ作用が発現するが、選択性はSSRIより低い。副作用は眠さ、めまい、口渇、便秘が出現することがある。しかし抗コリン系の副作用は3環系、4環系よりは頻度は低い。レスリンの特性は、眠さの副作用が多いように、鎮静作用を持つことである。また、3環系抗うつ剤にみられる循環器系の副作用がきわめて少ない。
ちょうどレスリンが発売された当時、初診のうつ病の患者さんを診ることが多い病院で働いていたので、アップジョン(ハルシオンの会社)からデジレルの調査を頼まれたことがあった。この時期、デジレルをまとめて使ったことがある。普通、新薬が出た場合、かなりの人数に処方してみないとなかなか良し悪しがわからない。今年、エビリファイが発売されてもう80人以上には一度は処方していると思うが、そういう理由もある。そのとき、デジレルを処方した感想だが、あまりの非力さに失望した。おそらく40人くらいには処方してみたと思うが、特に内因性うつ病をデジレルで治療するのは難しいとすら思った。たぶん、比べていたのがルジオミールやアモキサンだったのもあるだろう。デジレルで引っ張り過ぎると、自殺者が出かねないので、その調査を終了し、その後約10年くらいは処方しなかった。
レスリンを再び処方するようになったのは、ここ数年くらいである。今、レスリンは3~4人くらいに処方している。うつ病圏でもいろいろあるが、古典的な内因性うつ病は、やはり3環系抗うつ剤がベストと思うのである。僕が、このブログ内で「最初から3環系抗うつ剤を処方した方が良いと思った」と書いているのはそんな風な感覚から来る。レスリンは、抗うつ作用は強くないが、眠りを改善するので、その目的なら副作用が少ないし良い。
先日のブログで書いたように、近くの総合病院にコンサルテーションに行っているが、夜間せん妄のような病状にレスリンを処方することがある。せん妄の処方はいろいろ変遷があるのだが、レスリンの選択肢は今もあると思うのである。しかし最近思ったのだが、レスリンでも尿閉とか出ることがあるんだね。抗コリン作用は少ないけど、老人には出ることもあるんだろう。レスリンで抗コリン作用が出たとき、妙に感慨があり、おぬしなかなかやるな、と思わずにはいられなかった。レスリンは十分な抗うつ作用を期待できる?まで増量すると眠さで続かないというか、抗うつ剤として実用性が低い点がある。同じ眠い薬を処方するなら、ルジオミールやトリプタノールの方が力価が高い分、信頼できると思うのである。