往診
週に1回、総合病院に往診に行っている。僕の患者さんがその病院に入院したので往診の形で診に行ったことがあり、ついでにこの人も診て下さいという感じで始まったように思う。毎週、往診はしているが、その病院から報酬が出ているわけではない。僕の給料は、当直をしようが休日に仕事をしようが、あるいは深夜に行ってみようが、給料は変わらない契約になっている。いわゆる究極の年俸制で、これでは一生懸命働き甲斐がないというか、働くだけバカらしいように思う人もいるだろうが、僕はそうは思わない。精神科患者さんの症状は周りが感じる以上に大変なものだ。それを軽減する仕事に価値を感じているし、学問的な興味ももちろんある。
さて、往診だが、病院や施設の場合、一度にたくさんの患者を診る場合もあり往診料が非常に安い。そもそも往診と言わず対診と言う。これは僕の推測だけど、老人ホームなどに行く場合、一度に40人くらい診察する場合もありうるので、1人ずつ往診の診療報酬を払っていたら、大変な額になる。たぶんそういうことだろう。病院を訪問する場合なら、往診をしても1人6500円程度。しかも通院精神療法代も取れない。(もちろん健康保険は利く) たぶん通院精神療法代(いわゆるカウンセリング料)が取れないのは、通院はしてないからだと思う。この総合病院の往診の場合、老人ホームなどに比べ安定していない患者さんが多く、たいした人数も診ないので、感覚的にはボランティアに近い。この対診だけど、僕の処方薬物のランキングを挙げると、順に、
①リスパダール
②セロクエル
③抗うつ剤
④ジプレキサ
という感じである。リスパダールは液剤が多い。理由は即効性があるから。最近は分包が発売されてかなり便利だし、頓服で服用させやすいことがある。セロクエルもけっこう多い。これは、総合病院ではせん妄系の病態が多いことがある。他、内因性うつ病や脳梗塞後にうつ状態などに抗うつ剤を処方する場合もけっこう多い。その病院はSSRIはデプロメールしかないし、3環系もトリプタノールくらいしか置いていない。それも剤型は10mgなのである。3環系抗うつ剤では、10mg剤型は僕は使わない。結局、パキシル、ジェイゾロフト、3環系抗うつ剤を投与する時は、うちの病院から処方せざるを得ない。
ちょっと思ったのは、特に老年期のうつ病って総合病院では放置されていることがずいぶんと多いね。放置しても本人は何も言わないので、周囲はわかりにくく困らないことが多いからと思う。うつ病で、全く動けない状態で食事もとれず、うつ病性昏迷状態を呈しているのに何もそれらしい治療がされていないこともある。その患者さんは、なんと「パーキンソン症候群」の診断だったのである。まぁ老人だしそういう面もあるけど、見てるところが間違ってるって。