新薬の採用について | kyupinの日記 気が向けば更新

新薬の採用について

新薬が発売されると、採用するかどうか決める。このあたりは各病院により違いがあるが、医師の判断ですぐに採用になることもある。以前、勤めていた民間精神病院では、最初の5年くらいは精神科の新薬や既発売の向精神薬なら希望するとすぐに採用された。精神科の新薬なんて、そうそうあるわけではないし。その後、薬剤師を交えた会議で採用するかどうかを決めることになった。こうしないと、なし崩しに採用していることになるし、剤型の選択を間違うこともあるからだ。今の病院では、最初は薬物の採用は新薬であれ既発の薬であれ問題なくできた。病院に来た時、あまり薬物、剤型の種類がなかったのもある。今はどうなっているかと言うと、1ヶ月に1回、薬剤師を交えて会議をしている。まぁそんな感じだけど、医師の希望があればほぼ採用される。自動分包機の関係で剤型を増やすと困るのもあり、剤型は絞っている。あまり考えなく採用してしまうと、ほとんど剤型が出てきて不良在庫が増えることにもなる。


当院では、ジプレキサは2.5、5、10mg、細粒と採用したが、ジプレキサザイディスは5mgだけである。パキシルは10、20mgとあるが、ジェイゾロフトは25mgだけ採用している。エビリファイもとりあえず3mgだけ採用しており、今後の状況を見て6mgや細粒を入れるか決める。そんな感じだ。ほとんど使われない薬が突然処方されるようになることはほぼない。病院で処方しているドクターが変わらないから。薬物には使用期限なるものがあり、長期間使わないと処分せざるを得なくなり病院の損失になる。うちの病院ではそんなシステムなので、向精神薬の新薬は発売日かその翌日には処方できる。このあたりが民間病院の良さでもある。


この春くらいだが、医療観察法の精神鑑定のため、国立病院に通って鑑定書を書き上げていた時期があった。国立病院といえども今は採算性を重視しているので、ジェネリックもけっこう使われていた。ちょっと驚いたのは剤型の少なさ。リスパダール1mgが1日14錠処方されてるんだもん(過去のカルテで)。今は国立病院は国立病院機構○○病院とかいう呼び名になっており、採用の機動性も更に悪くなっている模様。エビリファイはまだ入っていないようであった。しかも1つ採用になると、原則1つ廃止になるので、これも長期で見れば不都合がある。なぜ入れたら廃止にするかと言うと、棚がないからだ。自動分包機の関係で、ソケット?が有限なこともある。


随分以前だが、僕が総合病院にいた当時、この採用、廃止の会議は大変だった。精神科以外の新薬は非常に多い。だから、例えば内科系の新薬を採用する場合、何か廃止しないといけない。そういうときに、しばしば向精神薬が犠牲になっていたのである。特に削られやすい薬物は、精神科の抗不安薬であった。良く考えると、抗不安薬は処方頻度の低い地味な薬物が多い。ここが狙われたのである。現在では、どの病院でも剤型はすべて採用するのは避けている思われる。同じ薬で2剤型入れると、2種類の薬物に影響するからである。うちの病院はリスパダールの3mgの剤型はない。1、2mg錠と細粒だけだ。3mgもあると便利だが、なくても大きな影響はない。最近、鑑定に行き始めた病院の院長に、うちの病院は新薬採用の際に廃止しますかという質問をされた。ちょうどジェイゾロフトが発売された時だ。僕は採用している抗うつ剤は何がしか使ってる人がいるので廃止はしないと伝えた。その病院は新薬を入れると、同じ系統の薬を廃止しているとのことだった。このようなことで、アモキサンやルジオミールがない病院はめったにないと思うが、もう少し地味な3環系抗うつ剤は、既に廃止にしている病院もけっこうあるような気がしているのである。