ジェイゾロフトとパキシル (ジェイゾロフトその3) | kyupinの日記 気が向けば更新

ジェイゾロフトとパキシル (ジェイゾロフトその3)

ジェイゾロフト は発売後しばらく経ったが、うちの病院でもボチボチ処方が増えている。12.5mg~75mgの範囲で処方しており、既に75mg処方の人も数名いる。100mgまで処方した人はまだいない。ジェイゾロフトは、パキシル よりは少し効果が弱いかもしれないが、もし十分なジェイゾロフトの投与で効果がないとき、パキシルに変更して良かったというほどの差はないように見える。ジェイゾロフトは、効果的にはパキシルと遜色ない。脱落率に関しては胃腸症状の副作用がジェイゾロフトの方に多くみられるので、脱落しやすいと思われる。これらのことから、ジェイゾロフトはパキシルより後に発売されているので、販売には相当に苦戦することが予想される。パキシルのみで十分で、ジェイゾロフトはいらないように見えるからだ。


パキシルに比べ、ジェイゾロフトの方が良いと思われる点を挙げてみる。

①焦燥感に対しての効果がジェイゾロフトはパキシルよりも良いように見える。

②ジェイゾロフトはパキシルより体重増加率が低い。

③ジェイゾロフトはパキシルより体重減少率が高い。

④性機能障害の副作用はジェイゾロフトはパキシルに比べ少ない。

などであろう。


SSRIの悪いところは、自傷行為や自殺企図の確率を増すことであるが(パキシルデプロメール の項参照)、焦燥感が強い若い女性患者にはパキシルは相当に処方し辛い。少なくとも僕はそう感じる。悪いことが起こりそうなケースでは、初診から旧来の抗うつ剤を処方することもある。実際、パキシルを若い女性に処方し、しばらくしてリストカットしてしまった(それもザックリ切ったのではなく、前腕を何本も平行して長く浅い切り傷を入れるような)ことがある。その患者さんは本来自傷行為などなかった。治療の過程で、本来なかったような症状が出てしまうのだ。そんなケースでは、少なくともパキシルよりジェイゾロフトの方が優れている(上記の①)


②と③は同じようなことを言っているように見えるがそうではない。体重減少というカテゴリーで調査すると、パキシルに比べジェイゾロフトは倍くらいの確率で体重を減少させる。体重増加のカテゴリーで調査すると、パキシルのほうがジェイゾロフトよりより体重増加を来たすらしい。(ただし厳密なエビデンスがあるわけではないようであるが) この理由だが、1つはパキシルにムスカリン受容体への作用が強いことが挙げられるが、他にジェイゾロフトには胃腸障害や下痢が出やすく二次的に減少させている面もあるのではと思っている。以上から、若い女性患者にはパキシルよりジェイゾロフトの方がむしろ良い場合もあるのではないかと思われる。