意味不明の多剤併用
近年、精神病院に入院中の患者さんの高齢化が全国的に進んでいる。当院でも、あちこち身体面の変調を来たして他科受診する人が増えている。他の病院に入院して治療せざるを得ない場合もあるが、精神症状が良くない人はどこでも入院できるわけではない。総合病院で精神科病棟を持っている病院に転院することになるが、こんな病院はたくさんはないのが現実だ。もう少し精神症状が安定していて、なんとか内科、外科病棟でやっていける人は普通の総合病院や単科の病院に転院する。最近、腎臓が悪くなったり、胃癌が発見されたりで、相次いでそのような転院があった。ある患者さんは突然腎臓が悪くなり転院した。もう数十年入院しており離院歴も数回あるような人なので、やむなく総合病院の精神科に転院させた。普通の科の病棟で診れるほどの精神症状ではないからだ。
最初、内科に受診させた時に、「薬が多すぎる。薬の副作用で腎臓が悪くなった」といった内容のことを外来医が患者さんに言った。統合失調症の患者さんにそんなことを言ったらダメでしょw あれほどの薬になったのはそれなりの理由があるわけで。シンプルにできるくらいならとっくにそうなってるって。だいたい数十年あれくらいの薬を飲んでいて、突然腎臓を壊したのも因果関係がどれほどあるかもわからないものだし。100歩譲って、薬が原因だとしても統合失調症の患者さんにそういうべきではない。そのために看護師が同伴して行っているわけで。結局、突然腎臓を壊し、治療を開始したらあっというまに治った。今は服薬も腎臓食もやめていて、精神科の治療だけに戻った。精神科の薬は全く変わっていない。その患者さん、精神病の病識は全くなくて、あえて言えばハンセン病のために入院していると思っている。病状と服薬の関連について理解できていないので、他科の医師が更に治療への不信感を持たせるようなことを言ってもらっては非常に困る。今後のこともあるので。精神科の意味不明の多剤併用については、他科の医師にもあれはどうなっているんだと言った疑念が確実にあるのであろう。
しかし・・
一流の医師であればあるほど、自分は他の科はほとんど知らないという意識があり、他科の専門性への尊敬や相手の治療を尊重する気持ちがみられる。おそらくそのような気持ちがあれば、あのような言動はしなかったと思われる。