セレネース液
セレネース液ほど、剤型で効果が異なる薬物も珍しい。これはあまり知らない人も多いんじゃないかと思う。実は、セレネース液は躁状態に非常に効果的なのである。躁状態になると今までその人が到底しなかったことを始める。例えば、突然レクサスを買ったり。もちろん資金計画などない。本人は当然支払い可能だと思っている。僕の患者さんで、とてつもない躁状態の時期に別荘を買った人がいる。いまどうしているかというと、今でもその別荘に住んでいるんだな。最近でもその別荘からうちの病院に通院している。お金はどうしたかというと、結論を言えばなんとかなった。奥さんがしっかりした人だったから。現在は変な話だが、障害年金を貰いながら暮らしているようである。その人が入院した時にセレネース液を使ったが、この人に関しては思わしくなかった。この人は、クロフェクトンとか最終的にはセロクエルでうまくいき、今ではけっこう安定している。セレネース液は、躁状態には極めて即効性がある。たぶん、すべての躁状態に対する薬物に比べても最速だと思う。セレネース液は、1mlあたりハロペリドール2mgの薬効があり、これはちょうど、リスパダール液と力価的に同等になっている。
リスパダール液1ml=リスパダール1mg
セレネース液1ml=セレネース2mg
リスパダール1mg=セレネース2mg
とされているので、ほぼ同等なのである。
リスパダール液はやや苦味があるが、セレネース液は味がほぼない。例えば、いろいろなものに入れてもわからないというメリットがある。(例えば、ごはんにかけるとか) セレネース液は躁状態に対してセレネースを注射するよりも効果があるのが謎だ。リスパダール液と似ているのだが、セレネース液も錠剤や細粒より錐体外路系副作用が出にくい。錠剤より少ない用量でも効果的であるといえる。最近、多剤併用状態だった患者さんが、エビリファイ単剤(に近い状態)に成功した患者さんがいる。
数年前は、
レボトミン 400mg
セレネース 18mg
リスパダール 9mg
こんな感じだった。もちろんそれでも芳しくはなく、数ヶ月に1回は保護室に入っていた。別に僕が命じたわけではなく、本人が希望するのである。理由は周囲が気になり怖いからである。その後、紆余曲折があり、デパケンRを入れると全然違うことを発見。これを契機に薬がかなり減った。躁鬱が一見、見えないのだが、基本的に感情障害っぽい基調があるのである。
今は、こんな感じ。
エビリファイ 9mg
リスパダール 6mg
デパケンR 600mg
これだけの処方で断然良い。ポイントは今でもなおデパケンだと思うが、エビリファイでかなり自覚症状が改善し、今ではひょっとしたら退院も可能ではないかと思えるようになった。最近は友人とよく寿司を食べに出かけている。ここ数ヶ月の間良い状態だったが、秋口、突如悪化した。かなり周囲が気になるのと言うので、久々にセレネース液を5ml処方したら、以前に比べても断然効果がありここ2週間ほどで元に戻った。ここ数ヶ月、たいして薬物を服用していないのが大きい。薬はなんだかんだ言って相対的なんだと思う。
過去のアップした日記から。
390投稿者:kyupin 投稿日:2002年08月10日(土) 00時06分53秒
最近、リスパダールの液剤が発売された。僕はまだ使っていない。抗精神病薬の液剤ではセレネース液が有名というか、よく使われているがこれよりやや苦いらしい。セレネース液は不思議な薬だ。液剤も錠剤も変わりがないように思われるだろうが、実際に使ってみるとかなり印象が違う。普通の錠剤よりも、副作用が出にくいようにみえる。また、躁病にはかなり効果的だが、これもセレネースの錠剤とは違っている。普通、躁状態には、その程度にもよるが、抗精神病薬を使わざるを得ないケースがある、これは一般にはブチロフェノン系よりフェノチアジン系を使用することが多い。僕は躁状態に抗精神病薬を使用する場合、好んでこのセレネース液を使う。すっきり躁状態が収まることが多い。でもセレネース錠を服用させることはしない。セレネース錠を使用するぐらいなら、ロドピンやバルネチールを使う。何故このような使い勝手の違いがあるのだろうか?おそらく血中濃度の立ち上がりの速さが1つの要因と思うが、それだけではすべては説明がつかない。 研修医の時に躁状態の患者を受け持った際、オーベンから、「こういうときはセレネース液を使うとうまくいく場合がある。セレネース液は躁状態に切れ味鋭い。」といわれた。普通、リーマスやテグレトールなどを勧めそうだが、これらは即効性という意味ではややセレネース液に劣る。長期的には非常によい薬だが。50歳代の患者さんの使ったところ、翌日にはうつ転したのでびっくりした。つまりセレネースの錠剤に比べ液剤の方がより鎮静的なのだ。フェノチアジン系のように見える。このセレネース液が等価のセレネース錠と比べ錐体外路症状などの副作用が少ないように見えるのはどういう理由だろうか? 血中濃度の立ち上がりが早いのは、副作用にはマイナスに見えるが。まだまだ謎が多い。