仕事が、作品が好きだから。辻村深月「ハケンアニメ!」の巻 | カフェときどき読書

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昨年買っていたのだけれど、なぜか気が乗らず

先日、二女のスキーレッスン付き添いの時に

読み始めたら止まらなくなり、一気読み。

 

ハケンアニメ!ハケンアニメ!
1,728円
Amazon

 

主人公はアニメの制作現場で働く3人の女性たち。

雑誌ananに連載されていて、表紙や挿絵はCLAMPというのも豪華!

アニメに興味ない人にも、

自分のようなアニメファンも十分に楽しめる、

お仕事エンタメ小説です。

 

 

「ハケンアニメ」という言葉はわたしも知らなくて

アニメーターとか、派遣が多いから?と思ったら

ハケン=覇権で、

そのクールでもっともDVDの売り上げのあった作品を指す

業界用語らしい。

テレビドラマが視聴率争いをするように

アニメも覇権争いがあって、

それが次の作品に影響したりするのね。

 

 

物語は4つの章に分かれていて

第1章は、9年ぶりに作品を発表する天才監督を支える

制作会社女性プロデューサーの話、

第2章は、第1章の作品と覇権を競う作品を手掛ける新人女性監督と

大手制作会社のやり手男性プロデューサーの話、

第3章は、女性アニメーターと、聖地巡礼を仕掛ける田舎町の男性公務員の話、

時系列に添って話は進み、それぞれ内容が重なりあっていて

エピローグで、第1章と第2章の作品の覇権争いに決着がつきます。

 

 

読みながらあらためて、アニメは一人で作るものではなくて

脚本に進行、キャラクターデザイン、アニメーター、音響、声優など

さまざまな職種の人たちがかかわって

できあがるというのを実感。

この作画監督だから今期のプリキュアは見るとか(夫)

この制作会社が好きだとか(長女)

●話は絵がきれいだけど▲話は荒れてるとか

いろいろあるもんなー。

 

 

そして途中、トラブルも多々あって

つらいことだらけだったとしても

好きだから、あきらめたくない、やり抜きたい、

いい仕事をしたい、この人に報いたい、だから頑張れる-

そんなプライドや愛がいっぱい詰まっていて

特殊な業界の話であっても、

働く女子に活力を与えてくれます。

アニメ業界のブラックな部分は抑えめにしているところも

読みやすくなっている一因だと思う。

 

 

好きなことにまっすぐに、がむしゃらに情熱を注げるって

幸せなことだよなあ。

と、ちょっとうらやましくなったりして。

 

 

読んでいて印象的だったのは、

アニメ業界は「愛の人が多い」中で、やり手ぶりが目立つ

大手制作会社のプロデューサー。

1章では特にイヤな面が目立つけれど

アニメを作るって、人もお金も時間もギリギリで

きれいごとじゃ済まされない。

その「裏」の部分をかぶって、

トップを取れるように力を尽くす、

それもまた、彼なりの思いがあるからこそ。

このプロデューサーと女性監督の信頼関係もよかった。

恋愛じゃない、でも背中は預けます、みたいな。

あと、3章に出てくる、

リア充の人から見た非リア(オタク)の見方が新鮮でした。

自分もオタクの部類で、「リア充」の人に対して

僻みっぽくなってしまうところあるよなあ…と

自らを省みたのでした。

 

 

おまけとしては

以前読んだ、同じ作者の「スロウハイツの神様」のキャラが出てきてニヤリ。

(読んでいなくても十分楽しめますが)

そして、作中のアニメ作品、どちらも魅力的で、見てみたい-!