ある漫画家の方の話です。
「あなたの漫画は間違いだらけだから教えてあげましょう」という手紙をもらった。以前「あなたの漫画はもうマンネリだから教えてあげましょう」という手紙をもらったこともある。こういう親切な人たちは必ず私のファンだと言い、お力になりますよ、と言う。全くありがたいことであります。

そっと見放してくれればいいから。


こういう1通の手紙で落ちちゃう自分がくやしくもあります。でも私、昔から教えてあげたくなるタイプみたいよ。笑


私の愚痴に皆様からいろいろなお言葉をいただき恐縮しております。創作者に対してひと言言いたい人はどの世界にもいるんですよね。そういう人は親切のつもりだから困りものです。本当にこうしてお声をかけていただいて気持ちが上がります。感謝です。


本当に親切心で「漫画家の方のためになる」と思ってご意見してる人もいるでしょうね。

「マンネリになってきて、それだと連載が終わるかもしれないから、漫画家のためにアドバイスしたい!」って人もいるでしょう。

アドラー心理学で考えるなら、それは漫画家の課題です。


▼アドラー心理学の課題の分離

「これは誰の課題なのか?」という視点から、自分の課題と他者の課題とを分離していく。

そして他者の課題には踏み込まない。

あらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと、

あるいは、自分の課題に土足で踏み込まれることによって引き起こされる。


漫画家の課題に踏み込まない。


■誰の課題かを見分ける方法

「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」



もし、連載が終わるなどの結末になったとして、最終的に引き受けるのは漫画家ですよね。


「いや、好きな漫画が終わるのは嫌です。私の問題です。」というかもしれない。

そしたら、「漫画家のためにアドバイスしてます」ってのは嘘になりますよね。

「自分のため」です。


自分のために、漫画家を変えようというのは、自己中心的な考え方になりますよね。

他人は変えられません。他人をコントロールすることはできません。

人と人とのあいだに起こる問題のほとんどは、誰しもがまず他人を変えようとするところから発生するのです。―ロバート・コンクリン


これは誰の課題か?と考えて、相手の課題なら踏み込まない。相手を変えようとしない。


『他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる。』
精神科医&心理学者エリック・バーン



近い人ほど課題の分離をしっかりしていくのが大事になってきます。

近い人ほど「あなたのために!」って変えようとしたくなるものです。


漫画で思い出したんですが、昨年こんな漫画を教えてもらいました。

「吾妻ひでおさんの『アル中病棟(失踪日記2)』という実録漫画」

アル中の父親がいる家族の話があって、解説されてるコマの部分を引用します。

依存症からの回復者が少ないのは「否認」の病だからです。

自分が依存症であることをどうしても認められず。再飲酒を繰り返してしまうのです。

もちろん家族は依存をやめさせようと、飲酒をコントロールしようとします。

この被害者でもあり、支え手でもある人を

飲酒の「イネイプラー」といいます。


共依存の家族は

病人(依存症者)のために生きるのではなく

自分自身のために生きるべきです。


病人をコントロールしない、イネイプリングしない、

呑もうが呑むまいがほおっておく。


やがて本人は身体的にボロボロになり

どうにもならなくなります。

これを「底つき」といいます。


これはアドラー心理学の話ではないですが、アドラー心理学の課題の分離で見るとわかりやすいと思います。

アル中の父親が酒を呑むか呑まないかは、父親の課題です。それをコントロールしようとしない。

「呑もうが呑むまいがほおっておく」って冷たく見えるかもしれませんが、これは冷たさではないです。

本人がアル中を治したいというときに、家族が「それはあなたの課題ですから」って放っておくのは冷たいことだと思います。


子どもの勉強も、「勉強は子どもの課題」です。しかし、アドラー心理学は「放任主義」は推奨してないです。

子どもが勉強したいとなったら、全力で家族はサポートしてあげる。

本人が勉強したくないのに、無理にやらせようとするのは、子どもの課題に土足で踏み込むことになります。



『斉藤一人の道は開ける』という本で、永松社長に一人さんがアル中の話をしてる場面があります。
「アル中の兄ちゃんに酒は飲むな。こういうやり方があるから、やりなって言うよね。でも当然兄ちゃんは酒をやめない。そうしたら、今度はアドバイスした自分が苦しくなるの。相手が自分の思い通りにならないから

たとえ兄弟でも、親子でも一心同体じゃないんだよ。兄貴は兄貴、自分は自分だということ。」


「理屈はわかるんですが、それって、なんか冷たくないですか」


「そう感じるか、わかった。いいかい、これは冷たさじゃないよ。頭を整理しなくちゃいけない。兄ちゃんと自分を切り離すの。

どうにかなりませんかって、ならないの」


「相手は変えられないっていうことですね。でもなんかさびしいな」


「重要なことだから、よく覚えてな。この世でなんとかなるのはたった一つ、自分のことだけなんだよ。


自分を変えずに相手を変えようとすれば、地獄が始まる。」



これも課題の分離の考え方が見えますよね。

自分の課題と兄ちゃんの課題を切り離して考える。

他人は変えられない、変えられるのは自分だけ。




「そっと見放してくれればいいから。」と言ってる漫画家に、いくら「私はあなたのファンなんです。あなたのためなんです。連載終わって欲しくないんです!」って言っても、本人が望んでないことは、無理なんです。変えられないんです。

そんなことしてても、自分も相手も苦しくなるだけなんですよね。



タイトルの「対人関係の悩みを一気に解消する方法」は、

『嫌われる勇気』というアドラー心理学が書かれてる本のサブタイトルです。
他者の課題には介入せず、自分の課題には誰ひとりとして介入させない。

これは具体的で、なおかつ対人関係の悩みを一変させる可能性を秘めた、アドラー心理学ならではの画期的な視点になります。



課題の分離ができれば、対人関係の悩みが一気に解消するといっても、大袈裟ではないと思います。






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