
久しぶりのブログ更新です。
最近バタバタすることが多くて、更新できていませんでした。
再開にあたって、何を書こうかと思っていたとき、やっぱりそろそろ取り上げなくてはと思いついたテーマが「アドラー心理学と子育て」です。
アドラー心理学全般の解説でも良いのですが、それでは薄味になってしまって面白くありません。
また、自分が学習塾で子どもと関わり、教育にも関心があることから、アドラー心理学と教育を結びつけた記事を書こうと考えました。
教育は、アドラー心理学だけでなく、いろいろな心理学と関連がありますが、ことさらなぜアドラー心理学なのかというと、最近になって若いママさん達が「アドラー心理学と育児」に関することを話題にしているのを多く見かけるからです。
アドラー心理学は、数年前に都会を中心にブームとなり、ビジネスや教育でよく取り上げられているのですが、育児と結びついていることに興味を持ちました。
テーマには「子育て」という言葉を使っていますが、これは、育児(就学前の幼児を育てること)と児童の教育(小中学生の教育)、青年期の教育(15歳から20歳ぐらいまでの教育)全般を示していると思ってください。
今回から、数回にわたって、「アドラー心理学と子育て」の話題を取り上げたいと思います。
【アドラー心理学の概説】
アドラー心理学の基本的な考え方をまとめると以下のようになります。
1.人間の行動には目的がある(目的論)
2.人間を分割できない全体の立場から捉えなければならない(全体論)
3.人間は、自分流の主観的な意味づけを通して物事を把握する(認知論)
4.人間のあらゆる行動は 、対人関係である(対人関係論)
5.人間は、自分の行動を自分で決められる(自己決定性)
6.人間の生き方には、その人特有のスタイルがある(ライフ・スタイル)
アドラーの心理学は、フロイトが緻密に構築した深層心理学を批判する立場にあります。
フロイトは、人間の心理・行動の原因を探り、人間を無意識と意識、自我・超自我・エゴなどの要素に分けて考え、親子関係など環境の影響を免れることができない存在としてみなす心理学を打ち立てました。
フロイトと対立したアドラーの心理学は、伝統的な科学思想を離れて、人間にふさわしい理論となっています。
アドラー心理学というのは、アドラー自身が体系立てて構築したものではなく、アドラーが書いた論文や講演記録を弟子が理論づけたものとされています。
アドラー心理学のキーワードとしては、「目的論」「優越性の追求」「劣等コンプレックス」「優越コンプレックス」「課題の分離」「対等なコミュニケーション」「勇気づけ」「ライフ・スタイル」「共同体感覚」といったものがあります。
教育に関するキーワードを拾い出すと、一般的な常識とは少し外れたものになっているので、これによって、アドラー心理学が独特であることが分かるでしょう。
その教育に関するキーワードというのは、「怒らない」子育て、「ほめない」子育て、「助けない」子育て、比べない子育てなどが挙げられます。
アドラー心理学を教育やカウンセリング、心理療法に用いていく場合、最終的な目標となるものは、「共同体感覚」です。
今回は、「アドラー心理学と子育て」の最終目的となる「共同体感覚」について詳しく見てみましょう。
【共同体感覚】
「共同体」という日本語を使うと、アドラー心理学にいう「共同体」とは少しズレたイメージになってしまいます。
日本語の「共同体」には、「すでにできている地域社会」といった意味合いがありますが、アドラー心理学が言う「共同体」とは、「個人と全体(周囲や世界)との関係性」といった意味があります。
共同体感覚は以下の3つの要素によって構成されています。
① 他者信頼:他者は私を援助してくれる
② 自己信頼:私は他者に貢献できる
③ 所属感:私は仲間の一員である
①と②は相互関係にあります。
相手を敵だと思ってしまうと、その人へ何か貢献しようとは思わないですね。
そして、他者信頼と自己信頼が出来た時、所属感を感じることができます。
アドラーは“共同体感覚を持つと全ての困難から解放されると述べています。
逆に、この共同体感覚を持つことができないと、自分の居場所を作るために、社会に反した行動をとったり、精神病になったりすると明記されています。
要するに、共同体感覚とは、「自分は、学校や家族、集団、社会などの共同体に所属感を持ちながら、貢献することができるという感覚」です。
人間関係のキーワードとも言える「愛情」なども、言ってみれば、この共同体感覚がなければ生じ得ないものかも知れませんね。
ある知人の方が、こんな体験談を話してくれました。
子どもの頃に、家族が大変な目に合い、家族崩壊までの危機を迎えて、心理的にもうつ病に近い状態まで追い込まれたとき、あることをきっかけに、その知人は「自分がしっかりして家族を助けなくては・・・」という意識が芽生えたと言います。
それから、仕事場での人間関係に恵まれ、多くの人との出会いが自分を助けてくれたようです。
家族が機能不全になっていて、共同体感覚など養えるような環境になくても、自分の考え方一つ、人間関係一つが変わることによって、共同体感覚を育んでいくことができるのですね。
共同体感覚は、活字で説明されると、「ごもっとも」と納得できることかも知れませんが、実践する段階では、なかなか意識できるものではありません。
そもそも「共同体感覚的なもの」を意識して子育てしている人は少ないのではないでしょうか?
子育てになると、親はみんな「我が子第一」です!
子どもたちには、「集団の中で居場所を確保したい、認められたい」という意識が強くあります。
「自分には居場所がない」「自分は認められていない」と感じれば、子どもたちは問題行動を起こします。
「我が子第一」と考える親が、そんな自分の子どもを見ると、「周囲が悪い」と思ってしまいがちです。
または、他人の子どもが問題行動を起こしていると、排除しようとします。
こんなとき、我が子に何をどう教えていけば良いのか?
「共同体感覚を身につけることが最終目的」ということを頭から離さなかったら、適切な方法を見つけることができると言えるのではないでしょうか?
共同体感覚を身につけるために必要な最小のものは、1対1の人間関係の中にあります。
これは幼児期の子どもが「公園デビュー」をする以前から身につけていくものですね。
要するに、母親との1対1の関係の中で、どのような態度を身につけていくのかが、その後の共同体感覚に大きく影響します。
こうして考えると、「公園デビュー」前の幼児期でも、共同体感覚というものを意識しておくことは必要になってくるということですね。
子育ての基本的な実践を説明する前に、まず、何を目的に子育てするのかを明らかにするために、「共同体感覚」というキーワードを覚えておきましょう。
次回から、アドラー心理学を用いた具体的な実践を見ていきます。