「自爆営業」

という言葉を47才にして初めて知った。

 

 

『絶叫』というドラマで知りました。

 

 

『絶叫』は、「決して特別な人間ではない平凡な1人の女の壮絶な一生を描いた社会派サスペンス」2019年尾野真千子主演のドラマ。

 

 

尾野真千子演じる「陽子」が何をしてきたかについてを描く4話のドラマ。

 

 

これがひどくて。

 

 

弟ばかりに愛情を注ぐ母親に、愛されなかった陽子の心の傷がひどい。

 

 

弟は10代の時に交通事故で死んでしまい、母親はもともとちょっとおかしい雰囲気はあったが、弟が死んだことでさらにおかしくなる。

 

 

そのうち父親は知らぬ間に借金をして失踪。実家が抵当に入っていたため、陽子は東京で一人暮らしを余儀なくされる。

 

 

母親は兄のところへ身を寄せたがその兄が死に、他の同居人とはソリが合わず、生活が立ち行かなくなり生活保護を申請。

 

 

役所は娘がいることを知り陽子に連絡。自分が食べていくだけでも大変なのに、陽子は母親への仕送りもする羽目に。

 

 

派遣社員の給料だけでは食べていけず、ハローワークへ足を運ぶと、そこには保険のセールスレディをしている女性がおり、勧誘される。

 

 

「女性の自立」を謳うその女性の言葉に感動し、陽子は保険のセールスレディとなる。

 

 

なんの経験も知識もない女性が突然セールスレディとして活躍することは難しい。ご多分に洩れず陽子も成果が上がらない。

 

 

そのうち自分で自分の会社の保険に加入する「自爆営業」や、枕営業をするが、それでも成績は芳しくない。

 

 

直属の男性上司は成果を上げさえすればどんな営業方法にも目をつぶる人だったが、新たな女性上司はそれを許さず、陽子の自爆営業と枕営業はあっさりバレ、契約破棄される。

 

 

生活できない陽子は街金に金を借りにいくものの、たった3万円しか借りられない。その街金で紹介されたデリヘルで働くこととなり、知り合ったホストを住まわせる流れに。

 

 

そのホストは働かず家で酒を飲むばかりか暴力をふるうようになり、途方に暮れた陽子の前に現れたのが神代という男だった。

 

 

陽子は神代と組んで、保険金殺人を企てる。

 

 

神代はホストを仲間に受け入れやさしく接し、気を許させる。陽子はホストとの婚姻届を勝手に提出する。

 

 

そしてある日、酔い潰れたホストを道路に寝かせ、神代の手下が運転する車で轢き殺させる。

 

 

この殺人を3人分繰り返し、陽子が受け取った保険金の額は3億円にまでのぼった。

 

 

3億がどこに隠されているのかを知らされていない陽子は、時間をかけて神代の家をくまなく探す。

 

 

やっと見つけた3億円は床下にあった。それから陽子は神代殺人を企て、デリヘル時代に知り合った住所不定の女を呼び出して殺し、自分の身代わりにさせて家をでる。

 

 

その足で母親のところへ行き、愛されなかった恨みつらみ悲しみをボケた母親に泣きながら訴え、殺す。

 

 

3億を手にして陽子は、住所不定の女になりすまし、これまでとは別の人生を生きていく。

 

 

 

 

 

というストーリーが、女性刑事の目を通してつづられていく。

 

 

これを見て私は「自爆営業」という言葉を知ったのです。

 

 

セールスについて私は考えました。

 

 

私の周りには、いわゆる「トップセールスマン」という人たちが何人もいます。

 

 

彼らのやり方を知り「なるほど、そうやるのか」と勉強になったと感じたことを思い出します。

 

 

このドラマに出てくる保険のセールスレディは、私が20代の時と同じようなやり方をしていました。

 

 

大手企業に勤めていた時、保険のおばちゃんといわれる人たちがいたなあと。あれをまだやっているのです。

 

 

たくさん人がいるから「母数が多い」という意味で大手企業に行くのでしょうか? あんなところで保険の営業をして契約が取れるのか?

 

 

ドラマでは、ほとんど契約が取れない現状が描かれています。

 

 

このドラマは2019年のドラマです。

今もなお続く、セールス手法。

 

 

陽子は派遣社員としてテレアポの仕事をしていた。そんな彼女がいきなりセールスレディの仕事などできるのか?

 

 

そもそも陽子はハローワークへ行っていましたが、ハローワークというものの存在を私はどうかと思っています。

 

 

まだ20代前半の頃、詐欺まがいのあやしい会社に勤めてしまった私は1年半でそこを辞め、失業保険をもらっていた時期がありました。

 

 

失業保険や職業訓練などのためにハローワークへ何度も行きましたが、仕事を探すためにハローワークへ行ったことはありません。

 

 

なぜなら、ハローワークは雰囲気が悪いから。暗いから。

 

 

以前、私の【パーフェクト文章塾】に入ってくれた美容室経営をしている女性が、ハローワークへ求人を出そうとしているのを、私は止めたことがあります。

 

 

だって彼女は「明るく元気な人に来てもらいたい」と言っていたから。ハローワークで仕事を探している人の中にどれだけ「明るく元気な人」がいるのか。

 

 

私は、自分がハローワークへ行った時に感じたあの雰囲気が忘れられなかった。

 

 

ご存知の通り、ハローワークへの求人掲載は無料です。

 

 

先ほど彼とこのことについて話していたのですが、ハローワークで大手企業の求人は見たことがないと。どちらかというと町工場や小さな会社が多い印象だと。

 

 

求人にお金をかけられる企業の求人はないわけですよね。

 

 

私は何かのサービスや商品を「無料で」手に入れられることは、あまりよい結果を生まないと考えています。(特に提供側にとって)

 

 

「無料だから」とたかってくる人たちは、その後「有料」で何かを買うことになりにくい。

 

 

そりゃそうですよね。最初は無料だったんだから。なんで有料で買わなきゃならないんだ、となるのは必然。

 

 

ということが、ハローワークでも起こっているのかな、と。

 

 

たかがドラマひとつでよくここまで考えるものだと自分で思いますけども。

 

 

なにせ『絶叫』を見る前は『パーフェクトワールド』という、障がいで恋を諦めた主人公と、初恋の彼に恋心が再燃したヒロイン、2人が紡ぐ愛の物語を見ていましたから。

 

 

落差が激しすぎて、いろいろ考えてしまいました。

 

 

一番強く感じたことは、陽子という女性の人生について。

 

 

「こんなにうまくいかないことがあるのか」と思った。

 

 

お母さんに愛されなかったことがきっかけなのは明白でしたが、それにしたってもっと仕事はあるだろう、やり方があるだろうと。

 

 

だけど彼女には友達がいないし、家族もいない(母親はいるけど頼れるわけもない)し、食べていくのに精一杯だから同僚の誘いにもそんなにのれない。

 

 

話す相手がいない、相談相手がいない、そんな状況が彼女をここまでにしてしまったのかなと。

 

 

ドラマは「陽子の孤独死」という設定からスタートしますが、実際には陽子は死んでいない。

 

 

だけどもしかしたら、陽子の心だけは、とっくに孤独死していたのかもしれない。

 

 

そんなことを感じます。