文章プロデューサー大竹ひろこです。
一年前とちょっと前に、
私はこんなことを書いていました。
自分がしていることに自信を持てない人、
今の自分の方向性に迷っている人は特に、
ぜひ読んでみてください。
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私は今フリーランスとして働いていますが、以前は会社員でした。詐欺まがいのあやしげな会社に勤務したことから始まり、給与計算アウトソーシングの会社、大手企業、ベンチャー企業などいくつかの会社を渡り歩きました。
あやしげな会社も、給与計算アウトソーシングの会社も大手企業も、どこもみな「マニュアル」がありました。こうしてああしてこうするんだよ、ということを教えてくれました。私はそれを教わり、教わったことをやり、そこから自分でできることを探していったのです。
ベンチャー企業にはアルバイトとして入社しました。「彼氏の大学の近所の会社だから、お昼ごはんを彼といっしょに食べられる」という安直な理由で面接を受けた会社。その会社ではまず商品の写真撮影とデータ入力、そして配送までやりました。この時は先輩からの指導があったのです。やり方はみな同じです。
ところがしばらくするとなぜか私は「お客様対応」という仕事をさせられるようになりました。その職場は平均年齢が20代半ばと低く、当時32才だった私は若者より経験を積んでいるように見えたのでしょう。仕事は電話応対とメールの返信。なんで私が、と思いつつ、それまで担当していた社員の男性につくよう言われました。
そこで初めて私は、「何も教えてもらえない」という状況に陥りました。その男性社員はヘビースモーカーで、暇さえあればたばこを吸いに外に出てしまうのです。メールソフトの使い方は教えてもらったけれど、どういうメールにどう返す、ということは全く教えてくれない。なんだなんだ? マニュアルはないのか? まあないですよね。創立まもないベンチャー企業ですから。彼にもマニュアルはないわけです。
仕方がないので私なりにメールを書きました。電話の操作方法は聞いたけれど、何にどう答えればよいかも教えてくれないので、とりあえず電話にでて何かしらの対応をしました。当時私は非常に短気でしたので、相手の言葉に逆ギレし、よく電話をガチャ切りしていました。すると抗議の電話がかかってくるんですよね。(当たり前か)そうして何度も上司に怒られました。
このやろう、教えてくれよ。そうは思っても教えてくれない。じゃあ盗んでやるぜ、お前のスキルをな! そう思って男性社員の対応を見ていても、彼はダラダラダラダラ客としゃべり、しまいにはルール違反の約束事をして、他のスタッフに無理難題を押し付けるのです。いやいやそれはないべ。まったく盗みたくないスキルしか目にできず、私は途方に暮れました。
メールでも、客はむちゃくちゃな事を書いてくるのですよ。私は当時、愛社精神などかけらもないアルバイトでしたから、まあ頭にきましたね。「お前が無理難題を言うならこっちもそれなりの対応してやんよ!」とばかり、言葉だけ丁寧で中身は乱暴なメールを送りつけていました。するとこれもまた抗議の返事がくるんですよね。その対応は自分でしなければならず、さらに頭を沸騰させてよりむちゃくちゃな返信をする。そしていよいよキレた客が電話をよこすのです。「上司をだせ!」なんて言われてね。私の尻拭いをさせられる上司。今は上場企業の社長になっていますけどね。ホント当時はごめんなさい、です。
ということを繰り返し、私は成長していきました。客と何度もケンカをし、頭にきて飲みまくり、二日酔いの頭でまた客の言動にブチ切れ……。それでもまあよく元気に働いていましたね。まだ30代前半でしたからね。若いってすばらしいですね。
しばらくして私は正社員になり、その部署をまとめる立場になりました。客との修羅場をくぐり抜け、私はある境地にたどり着きました。悟り、と言えるのではないでしょうか。さすがにガチャ切りやブチ切れはなくなり、相手を「客」ではなく「お客様」と思えるようになり、私はある人と出会うのです。
その方は女性のお客様です。メールで苦情を申し立ててきたのです。その対応をアルバイトスタッフが行いましたが、その対応に彼女はちっとも納得せず、何度かのメールのやり取りの後、とうとうA4用紙10枚分ものクレーム文書を社長宛に送りつけてきたのです。そこまでのやり取りを知らなかった私は社長に呼び出されました。「これ、どうなってるの?」どうもこうも、もめてるのでしょう。その手紙と過去のメールを全て読み、私はその方に返信メールを書きました。
私のメールを読んだその方からの返信文を、私はいまだに忘れることができません。そこにはこう書いてありました。
「お便り拝見し、張り詰めていたものが一気に緩んで涙がぼろぼろこぼれました 」
「え? 私が書いたメールを読んで泣いてくれたの?」そう思うと胸が熱くなり、私も思わず泣きました。この瞬間の体験が今の私を作ったと言えます。自分で考えて起こした行動に、人は感動してくれるんだ。心を込めて行うことに、相手はちゃんと答えてくれるんだ。
誰にも教わっていないけど、自分で考えて起こした行動がある。例えそれがすぐにはうまくいかずとも、いつか報われる時がくる。そういう体験を私はしました。最初はくさりながら仕方なくやっていたことが、まさか自分の生業になるとは。当時は夢にも思いませんでした。
誰かに教わっていようといまいと、まずは自分がこうと思ったことをやってみる。その経緯、その結果はきっとあなたの財産になる。失敗してもいい、うまくいかなくてもいい。それこそが後の糧になるのです。
だからどうか失敗をこわがらずに。むしろ「失敗してナンボ」くらいの気持ちでやってみる。やってみて初めて見える景色がある。
「誰にも教わらなかったこと」それはあなたの財産である。私はそう信じています。