文章プロデューサー大竹ひろこです。

2017年9月10日、化粧品を買いに行った時のこと。

 

 

あるブランドで過去に一度試してみた商品が「良い」という確信を持てなかったので、もう一度試してみようと思ったのです。
 
 
デパートへ行き、そのブランドの鏡台の前に座り、ケープをかけてもらいました。私がほしいものは化粧下地とファンデーション。店員にはそう伝えましたが、まずは「肌診断」なるものをせえと言われました。(実際にはもっと丁寧な言い方でしたが)
 
 
肌診断をしてみると、私の肌は平均以上の良い状態だと言われました。それもそのはず。その日は朝10時から1時間の筋トレを行い、汗をかいた後だったのです。「そりゃいい状態だろうな」と思いつつ、店員が肌の状態について話すのを、私は延々聞かされていました。保湿がどうとか毛穴の種類がどうとか。私が聞きたいのはそんなことではないのですが、彼女は嘘の笑顔を浮かべてダラダラダラダラ話しています。
 
 
その話はやっと終わり、化粧下地とファンデーションの話へと移りました。「薄付きにしてください」とお願いしました。なるべくいつもの私と同じ手順でお試しをしたかったのです。私が試したい商品は、化粧下地とファンデーション。さっさと塗ってくれればいいものを……。
 
 
化粧水と乳液を塗るんですよね。まあそれはいいとして、なぜか塗り方のレクチャーまでされました。「聞いてねえよ」と思いつつあいまいに頷き、化粧下地の出番がくるのを待ちます。するとどうでしょう。次なる塗り物はなんと「毛穴を引き締めてくれる美容液」だと言うではありませんか。
 
 
そんなの買うつもりはないし、普段もつけないから塗ってほしくなかったのですが、なんかもうその店員には何を言ってもダメな気がして黙っていました。再び塗り方レクチャーを受けながら、美容液を塗り込まれる。「いろいろ塗りすぎなんだよ」と心の中で悪態をつきました。その時の私の顔は、能面のような真顔だったと思います。
 
 
そしてやっと、化粧下地とファンデーションの出番です。ここまでですでに10分は経過していますよ。塗り方レクチャーを受け、肌の様子を確認してほしいと頼まれる。化粧品は塗ったその場でどうこうなんて判断はできないので、「まあ、一日経ってみないとわからないので」とあいまいにその場を濁しました。
 
 
ファンデーションの出番がきました。この商品は3万円もする新商品で、これまでのファンデーションとは作りが違うそうなのです。まあここまではいいのですが、そこから不運にも、この商品がどれだけすごいかの説明がスタートしたのです。もうこの辺りで私は「早く帰りたい」と思っていたのですが、ただ黙って塗られることにしました。だってこの人に何を言っても、きっとわかってもらえないもん。
 
 
 
 
 
私が求めていたことは「毛穴が目立たなくなるか」「明るい顔になるか」これだけです。なのに彼女は私のことより商品のことを語る。こちらに伺うことは「この商品どうですか?」ということだけ。塗り方が雑だったので、結局私はそのファンデーションを自分の手でのばしました。商品は、良さそうでした。
 
 
実はこのブランドに来るのは2度目でして、名古屋でもお試しをしたことがあるのです。その時対応してくれた店員はスペシャルな人で、店舗に所属せず、全国を飛び回るなんとかって肩書きの女性でした。今回の店員と彼女との大きな違いは2つ。それは「笑顔」と「問いかけ」です。
 
 
今日の店員は笑っていませんでした。笑顔を作ってはいるつもりなのでしょうけど、目は死んでいました。でも名古屋の彼女は心から笑っているように見えました。いろいろ私に質問をしてくれるし、それに対して「なるほど」と思うような回答もくれました。顔も美人ではありましたが、お肌がピカピカしていて笑顔も弾けんばかり。真っ赤な口紅が印象的で、アイメイクは控えめに見えました。彼女の応対だけで私は、そのブランドがグッと好きになったのです。
 
 
だけど今回、せっかく好きになったブランドを訪れたのにテンションはダダ下がり。あの名古屋の彼女がうっかり横浜に来ていやしないかと、思わずキョロキョロしてしまう。何かを買いたくて店に来ているのに、その商品を買う気にさせない店員というのは一体どういうつもりなのでしょう。私は買いたかったのに、買えませんでした。そうです。「買わなかった」のではなく「買えなかった」のです。
 
 
この体験は非常に勉強になりました。「笑顔」と「問いかけ」。どんな商売にも通ずるこの2つの要素はやはり大切なのだなと痛感しました。この2つが不足すると、「買いたい人に買わせてあげられない」「買いたいものが買えない」という、お互いにとって最も不幸な状態を作り上げてしまうのです。
 
 
商品自体の説明なんて、どうでもいいのです。それより何より消費者が欲していることは、「今の悩みが解決するか?」「欲しいものをいかに気持ちよく買わせてくれるか?」「それを買うと自分がどうなれるのか?」これにつきます。極端な話、これだけ語っていればいいわけです。もちろん、言うからにはそこに責任が伴います。当たり前のことです。
 
 
さてさて、もしやあなたは「自分の商品・サービス自慢を延々と書く」なんてことをしていませんか?それはお客様に求められていることですか?説明ページも必要ですが、大事なのは「いかに気持ちよく買わせてあげられるか」を書くことです。
 
 
一気に書いてしまいましたが、いかがでしたでしょうか?女性ならば私と同じような体験をされている方、多いのではないでしょうか。
 
 
試し塗りから半日経過し、肌はなかなか良い状態を保っています。買おうかな、このファンデーション。だけどあの店員からは買いたくない。いっそネットで買おうか?こうして悩む時間がもったいないなと思いつつ、明日まで悩んでしまう気がします。