これ の続きです。



やがて涙もおちつき
おじさんおばさんと話をするお母さん。



さすが看護師。
おばあちゃんの左手を動かし始める。
動かさないとよけいに動かなくなるらしい。



足を見る。
きれいな足だとほめている。



足も動かす。



お母さんは「やってみな」とすすめるけれど、人の体を勝手に動かして何かあっては困る、とおばさんは逃げ腰。



私もなんだかこわい。
手なれた人でないと難しそうだ。



倒れたときの後遺症で右半身が動かず、声が出せないおばあちゃん。



顔はいびつに歪んでいるけど、目は動く。肌艶もいい。
 


もともとモチ肌のおばあちゃん。
倒れた今もそれが保たれているのは嬉しい。



みんなで話しかける。
きれいな肌だね、きれいにしてもらってるね、と肌にふれながら。
 


ふと、おばあちゃんが左手を口元に持っていく仕草をした。



おじさんとおばさんが驚く。
昨日まではこんな風に動けなかったのに。



さらに足をもぞもぞし始める。
手はずっと唇をさわっている。



おばあちゃんの癖。
まるで「オホホ」と上品に笑っているような仕草。



またもおじさんとおばさんは驚く。
昨日より格段に体が動いている。



みんなの愛が伝わったのだろうか。
おばあちゃんはしきりに目を動かしている。



なんだか嬉しくなってきた。



最後にみんなで励ましの言葉をかけた。



おじいちゃんがことさら大きな声で話しかける。
その途端、おばあちゃんの目に大粒の涙。



私も話しかけてみた。
大きな反応はない。
ちょっとさびしい。



病室を出るとき、
元気な姿を見せておばあちゃんを勇気づけようと
大きくバイバイと手をふってみた。



すると
おばあちゃんが左手を持ち上げて、グーパーみたいな仕草をした。

 

「バイバイ」



おばあちゃんが手をふっている!



「おばあちゃんがバイバイしてるよ。」



みんなに伝えると、全員が振り返っておばあちゃんを見る。



おじさんとおばさんはすごく驚いていた。





家族の愛の力でどんどん回復するおばあちゃんを見て、胸が熱くなる。



帰りはみんな、少し安堵の表情。



きっと良くなるね。



そんな思いを少しだけ、胸に抱きながら。