-いつもと少し違う空気-




私はあの日

朝おはよう、と入った瞬間から、

なんとなく空気が違うのを感じた。



普段の穏やかな流れが少し揺れていた。



目の前で交わされるやり取りは、

一見楽しげで無害に見える。



でも、どこか不自然で、

私は胸の奥がざわつくのを感じた。







まるで、小さな波紋が静かに広がり、

見えない力で人を揺さぶっているようだった。




誰かが特別扱いされているわけではない。

いじめられているわけじゃない。

でも、特別感を演出する小さな仕草や、

流れがおかしい空気が、

私の感覚を微かに引き裂く。




その瞬間、心のどこかで


「正しいことを言わなきゃ」


という衝動が顔を出した。



でも、言葉を出せなかった。


もし声を上げたら、誰かの顔が曇る。


その顔を思い浮かべただけて、


衝動は静かに鎮まった。





ただ、見てしまった。



起きていることは小さなことかもしれない。

でも、静かに誰かを傷つける波紋を、

見逃せなかった。



その夜、胸のざわつきが消えなかった

私は一つだけ自分に言い聞かせた。



正しさをぶつけることだけが、

守る方法ではない



ということを。



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