一週間前の金曜日、河瀨直美監督作品の映画『光』を観てきました。

2007年に「もがりの森」でカンヌ最高賞のパルムドールを獲得された監督ですが、今回もカンヌに出品され、賞をとっておられます。
河瀬監督作品に特に詳しくはないのですが、彼女は奈良の方で、舞台が奈良であることがほとんどです。
今回も、あ、これはどこかなー?あこかなー?なんて思うシーンや、映る山々の感じで、奈良の地のどこからどっち方面の山を撮っているのか、、そんな風にも思いながら観ました。
映画の簡単なあらすじですが、
視力を失いゆくカメラマン(永瀬正敏)と映画の音声ガイドに従事している美佐子(水崎綾女)のお話です。
映画の音声ガイドとは、登場人物の動作や情景を、言葉で伝える仕事(視覚障碍者向けのナレーション)ですが、視覚障碍者の方々にモニターになってもらい、音声ガイドの検証、テストをするというシーンがこの映画ではたくさん出てきます。
そこで二人が出会い、それぞれの今までの人生、今までの人生からの今の彼らの心にあるもの、それらがきしむ音を立てながら変化していくという、内容はそんな感じでした。
今まで観た河瀨直美監督作品でも、被写体に近い撮り方、、というのか、登場人物の見ている視点であったり、登場人物の表情の細かいところまで静かに追っていたり、緊張するシーンでなくても、なんとなく息をのんで シン、、、と見てしまう瞬間が多かったです。
今回は特に、視覚障碍者が主人公の話だからかもしれません。 見る、見えているっていうことの感覚に入らされるような体感、今思えば、そんな感じがありました。
見えてるけど、見えてない、見えてないけど、見えてる。 話のテーマのひとつでもあるかもしれないけれど、それらが撮り方や映像、間の取り方で、すごく体感させられる、、というか。
そしてこの映画を観た人は、そこにすごく惹きつけられるんじゃないかな、、と思いますが、「音声ガイド」という仕事についてです。
映画を音で観る、という世界に初めて触れた気がします。 音声ガイドをつけていくとき、視覚障碍者のモニターさんに協力いただいて、何度も何度もテストし、さらに推敲を重ね制作されるようなんです。
その世界について、とても考えさせられた、、というか感じさせられました。 役者が表情だけで、もしくは動きだけで語る時や、景色の描写だけで語る時、それをどのように音声でガイドするのか。
ガイドをつけるものは、映画を相当感じる力がいりますし、的確に説明できているからといって、映画を音で楽しむ方々にとって、それが「味わい」になるとは限らない。 映画を読み解く力、それを表現できるだけの言葉の能力はもちろんのこと、その言葉を届けられる者への共感力、そこで生まれるだろう世界での体験を想像できる力、それは「視覚障碍者への理解、共感」と思うだけで、逆にそれが歪みになる、そういう繊細なところ。 本当の尊重とはなんだろう、、。
これは、わたしの中ではセラピーに重なるものもあり、「言うことで動くものや感じるもの」、逆に「言わないことで動くものや感じるもの」があったり、、どちらかと言うと、「伝えるタイミング」を繊細に観ることで、「言わないことを学んでいく」、そちらの学びの方がディープになっていくように感じています。
けれども 「それは傍観や、放置じゃなく、ではそのときは何をどのように表現するのか」そういうことが鍛えられていく、その感覚に似ていると思いました。
それを、音、もしくは無音という音(間合い)でのみ、表現していく「音声ガイド」は、いかに難しいかと想像します。
こういうことをここまで考えさせられる映画というのは、あまりない、、というか今までにあるのかな?と思いました。
興味ある方はぜひ、機会のあるときに観てみてください。
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