おじさんに手招きされて、一歩踏み出した。

 コンクリート敷きのはずなんだけど、そこはどう見ても庭だった。屋上に

芝が植えてあるのは、見たことがある。でも、それよりも立派に庭となって

いた。背の高い木はないが、中央が盛り上がっていて、ちょっとした茂みが

向こう側への視界を遮っている。あれ、築山っていうんだっけ。ゆっくりと

カーブを描くように小路もあって、ちょっと一息つくのに良さそうだ。ほら、

小さめだけど東屋も左手にあるし、手ごろなベンチもちゃんとあるじゃない。

 まぁくんも初めて見る景色に興味を持ったようだ。私の手をほどいて前に

駆けていこうとする。

 「まぁくんと遊ぶのにも良い場所でしょう。どうぞ、ご自由に。」

 おじさんはそう言いながら、右手で後ろ手にドアを閉めた。ドアは、事務所

の出入り口に使うような、スチール製のものだった。真新しいビルの設備と

しては味気ない。こんな庭に面しているなら、もっとおしゃれな自動ドアが

似合うと思う。

 

 東屋のベンチに座って見ていると、まぁくんは、小高い築山を登ったり

降りたり、何度も繰り返している。いつも行く公園もいいけど、こういうのも

いいよね。なんだか気持ちがゆったりとして、心がほぐれていく感じだ。

 

 続く