原作はアガサ・クリスティーの「ナイルに死す」

 

 

私はこの原題の方が好きです

作品の中で語られるのは全てを躊躇なく排除できる強い愛です。

倫理も尊厳も関係ない この世で一つの愛が悠久のナイルの川で消えてゆきます。

 

 

 

 

冷徹な経営者で大富豪の父親から莫大な遺産を受け継いだ若い女性 リネット

若さと美貌と財産  作者は彼女を「太陽」のようだと表現しています

そして、

彼女の幼馴染で黒い髪と瞳を持つ女性はジャクリーン

彼女がある日、若い婚約者と共にリネットの屋敷を訪れたところから

物語は始まります。

何も持たないけれど 瞳を黒曜石のように輝かせ

「私のたった一つの宝もの、彼がいなければこの世に生きる意味はない」と

大きな笑みを投げかけながら綺麗で暖かなオ-ラをまとった婚約者を紹介した

ジャクリーンを作者は「月」と表しました。

 

 

太陽は全てを照らし 崇められ見上げられ輝く存在

月は昼間の空で太陽の影 夜の空で輝く

 

全てを持つ太陽のリネットは 一文無しのジャクリーンから唯一の財産である婚約者を奪い

結婚して全米を驚かせることになります。

 

 

新婚旅行はエジプト

豪華な旅行には友人知人が招待されますが

ナイル川を下る豪華客船のなかで美貌のリネットが殺されてしまうところから

事件は始まってしまいます。

 

 

 

 

いきなり船上に現れ二人につきまうジャネット

 

 

借金だらけの親戚

財産を管理している弁護士

寄宿舎のころからの友人

アル中の女流作家とその娘

その他にも若き富豪の女性の周りには怪しい人物ばかりです。

 

この作品が書かれたのは1937年です

現在に至るまで様々に映像化されてきたのですが

時代とともに少しづつ設定も内容も帰られてきていました

私はたぶん そのほとんどを観ていますが

う”~ん というものも まぁまぁというものも あります

大満足がないのは 原作を読んだクリスティーホリックには致し方ない事です。

 

 

 

 

 

ケネス・ブラナ-監督&主演・・・異世界の探偵ポアロです

 

 

アガサ・クリスティーも「どなた?」とおっしゃるでしょうね

ビジュアルも大きな口髭以外 共通点は見当たらず

その髭ですら最後は・・・いえ、言わない方がいいでしょう。

 

靴や衣服が乱れるのも汗をかくのも嫌うポアロが犯人を追ってアクションを繰り広げたり

原作ファンとしてはとうてい受け入れがたい所業です。

 

 

 

 

 

 

 

しかしながら、わたくし

クリスティー作品で初めて最後に泣きました。

 

これは私の加齢によるものか 作品の重厚さゆえか。

 

 

そうだ!、この作品で今までと一番違うと感じたのは

もちろんポアロの描かれ方以外にという事ですが

太陽のリネット 

月のジャネット

の描かれ方です。

リネットは傲慢で美しいだけでよかった

ジャネットは愛だけを貫く強い女性でよかった

けれど、この作品では弱さまで描かれ

だから私は最後に泣いてしまったのでしょう。

 

 

ケネスのポアロは本作品で終わりのはずです 最後まで観ればわかります。

ケネスさんの意図もわかるし作品として悪くはないのだろうけれど

子供のころからクリスティ作品をこよなく愛する者としては認められない

あ~、混乱するニヤニヤ

 

 

誰か!初期のウィットにとんだ軽妙洒脱なクリスティ作品を作って欲しい

私が今 求めているのは涙ではなくそう快感です。

 

 

 

 

 

 

久しぶりの映画館  久しぶりのクリスティ作品  

友人からもらったバッグ そんな一日でした

おり~ぶ

 

 

映画の冒頭で戦争のシ-ンが出てきます

どうしてもウクライナへの侵略 悲惨な現状を思いました

どうか1秒でも早く集結してウクライナ国民が

祖国を取り戻せますように

祈ることしかできません。