初夏の風が、箪笥の奥の重たい衣をそっと揺らすころ。

人は知らず知らずのうちに、言葉の装いもまた、薄く軽やかにしていくのかもしれません。

5月末から6月の「参宿」の月は、流れるような会話や軽やかな思考がテーマとなります。

この時期、土星と海王星の共鳴も相まって、

人はことばの海を泳ぎ、音と言葉と沈黙のあわいを往復しながら、

自分と他者との“呼吸”を確かめていく。

けれど、あなたは今、

どんなふうに言葉と呼吸を交わしているでしょうか?

話すことが好きで、つい夢中になって一方的に語ってしまう人もいるでしょう。

あるいは、聞き役に徹しすぎて、息が詰まるような思いを抱えている人もいるかもしれません。

会話とは、息を吸い、そして吐くこと。

どちらかに偏りすぎると、呼吸と同じく、

いずれは苦しくなってしまいます。

たとえば、喋るばかりの人の言葉は、

ときに嵐のように強く、聞き手に言葉の余地を与えません。

聞く側は、ただ黙って相槌を打つだけで、

次第に酸素を奪われるような心持ちになってしまう。

それは、まるで吸うことばかりで吐くことを忘れた呼吸のように、

心にゆとりを与えません。

もし、あなたが「私は喋りすぎるほうかもしれない」と

気づいたなら、ほんのひと呼吸、間を置いてみてください。

相手の表情や声の調子を感じ取るだけで、

その場の空気が、ふっとやわらぐこともあるのです。

ことばは風船のようなもので、片方だけが膨らませすぎれば、

いつか弾けてしまう。

喋ることの愉しさは、相手と共有できてこそ、

本当の意味で実を結びます。


一方で、「私は聞いてばかりかも」と感じる人は、

そのすべてを真正面から受け止めようとしなくても大丈夫。

時には窓を開けるように、意識を少しだけ外に向けて、

相手の話を軽やかに受け流すことも必要です。

話の一語一句をすべて拾わなくても、関係はきっと壊れません。

聞きながら、時折体を動かしたり、

視線を外にやったりすることで、

あなたの心と身体もまた守られてゆきます。


衣替えとは、ただ服を替えることではなく、

季節とともに自分の在り方を調律する儀式のようなもの。

参宿の風は、ことばの温度を見直し、

会話の呼吸を整えるための、

優しいリマインダーでもあるのです。

ふとした会話の端に、言葉の羽のようなやさしさを。

沈黙のあいまに、あなたの温かな気配を。

この季節の風とともに、

ことばの衣も、静かに、

そしてしなやかに着替えてみてはいかがでしょうか。

それは、あなた自身との対話の始まりでもあるのです。


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