「ところで前鬼はどうしたのじゃ?」
嵐がその事を後鬼に確認した。
いつもは一緒にいるのに、今は後鬼一人だ。
「面白い小僧を見つけて、後を追いかけて行きおった」
「面白い小僧?」
嵐が奏を見た。
「多分、稜よ…」
奏には心当たりがある。
「誰かを捜しておった様じゃが、それはここにいる二人のことだな」
後鬼はその事を感じている。

「お主らはあの小僧の力を知っておるのか?」
後鬼は奏と響に聞いた。
「稜の力…?」
二人がそう言って顔を見合わせた。
お互いに心当たりはないらしい。
「ずっと隠しておったと言う訳か…」
後鬼がその事実に考え込んだ。
それは、幼なじみが生け贄になったのと無縁ではない。
後鬼はそう考えた。
「恐らく…あの祈祷師よりは力は上だ…」
後鬼が感じた事実。
そのままを皆に告げた。
「面白い…」
真魚が言った。
「稜がそんな力を持っていたなんて…」
奏が過去の出来事を思い出している。
だが、何も心当たりがない。
「稜にあっても不思議じゃないわ」
稜の血筋。
響はその事実からそう考えている。
「今回は後手に回ったようじゃがな…」
後鬼は稜の想いを察していた。
真魚が先に手を回してしまったのだ。
「それよりも…真魚殿…」
「あの祈祷師…あなどれませぬぞ…」
後鬼は小さな声で真魚に言った。
「思った通りだな…」
「社になんぞ、飼っておるようですな…」
後鬼が真魚に告げた。
「ほう…」
真魚に笑みが浮かぶ。
「あの祈祷師、稜の祖母らしいぞ…」
真魚が後鬼に告げた情報が、後鬼の考えを繋いでいく。
「あの小僧の…」
「なるほど…これは面白い…」
「血は争えぬか…」
後鬼が祖母である祈祷師を思い浮かべた。
「お主ら何を二人でこそこそ話しておるのじゃ!」
嵐が話に割って入る。
「お主には関係ない、こっちの話だ!」
「こっちとは何だ、こっちとは!」
嵐がそう言って怒っている。
「頭を使う方の事じゃ、お主は身体を使う方じゃろ?」
「それは、そうだが作戦は聞いておかぬとな…」
嵐はそう言って横目で後鬼を見た。
してやったり。
仲間はずれになった事を根に持っているらしい。
言葉に詰まる後鬼を見て、満足している。
「どうせ、好きなようにしか動けぬくせに…」
後鬼がそう言って嵐を横目で見た。
くすっ
くすっ
奏と響が笑っている。
「ほんとだ」
「だから言ったでしょ、怖く無いって…」
奏と響が嵐と後鬼のやりとりを見て笑っていた。
「見世物ではないぞ!」
嵐が二人に言った。
「鬼と神様の喧嘩が見られるなんて…」
奏がそう言って笑った。
「言っておくが、喧嘩ではないぞ」
嵐が二人を窘めようとした。
その時…
「来たようだぞ…」
「しかも、おまけつきだ…」
真魚が振り向いた。
「おまけって…?」
奏の顔色が変わる。
「きっと、稜のことよ!」
響がそれに気づく。
「健気な奴だ…」
嵐が笑っている。
「ようやく揃いましたな…」
後鬼が待っている。
全ての情報が揃うのを待っているのだ。
「そういうことだな…」
その方向を見ながら、真魚が笑っていた。

続く…
-この物語はフィクションであり、史実とは異なります。
実在の人物・団体とは一切関係ありません-