
誰がなんと言っても、カキ氷にはスイートコーンとチーズが合う。
これはもう、まんじゅうにあんこ、バナナに牛乳、というのと同じレベルの一般常識である。
私の老後の夢の一つは、ハロハロ屋台のハロハロばあさんになることだ。手押し車に製氷機とハロハロの具材をのっけて日本各地の夏祭り会場に参入すれば、他のカキ氷屋はもちろん、アイス屋もクレープ屋もタコヤキ屋さえもひれ伏す、祭りの女王まちがいなしだろう。ひょっとするとハロハロ御殿が建つかもしれない。……と思わず夢想したくなるほどにフィリピンのハロハロはおいしい。
基本はミルク味のカキ氷だが、「ハロハロ」(タガログ語でいろいろ混ぜるという意味)という名が示す通り、アイス、ゼリー、プリン、ジャックフルーツやマンゴーなどのフルーツ、ナタデココ、タピオカ等様々な具を入れ、それらをシャクシャクとスプーンで全部混ぜて食べる。
中でも欠かせないのはウベ(紫イモ)のペーストまたはアイス。この色が強烈なために最初カラフルなハロハロは混ぜると鮮やかなラベンダー色に変わる。
だまっていても汗が滴り落ちる常夏のフィリピンのギラギラ光る太陽の下、冷房の効いた店内に逃げ込み、ハロハロをかきまぜる。それはまさに至福の時で、「フィリピンに来てよかったな~」と実感する瞬間でもある。
ちなみにこの具材をスイートコーンととうきびアイス、チーズだけに限定したモノを「マイス・コン・イエロ」といい、こちらは混ぜるときれいなクリームイエローになる。ハロハロはタガログ語だが、マイス・コン・イエロは「コーンと氷」を意味するスペイン語である。
フィリピンは長くスペインの植民地だったため、文化や単語の端々に今もスペインの影響を残し、アジア唯一のカトリック国としても知られている。その後アメリカの支配下に置かれ、独立後も英語がタガログ語に並ぶ公用語の一つになる。さらに第二次大戦中は日本軍の侵攻も受けたし、現在は一大デカセギ国家として中東諸国や欧米に相当数の労働力を輸出している。
そういう意味で、フィリピンは国自体がハロハロだといえるだろう。フィリピンという氷にいろいろな文化が混ざり、融け合うことで今日のフィリピン文化が作られている。
そんなフィリピンの豊かさ、おもしろさを味わうことで、日本という国に足りない具材、入れたらもっとおいしくなる具材が見えてくればいいな、とちらりと思いを馳せたり馳せなかったりしながら、今日もハロハロを食べる。
Talagang masarap(とてもおいしい)!!!
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◆ゲストライター:かおり

寒さが苦手でたいてい南の国に逃亡している軟弱な道産子。初海外はマダガスカル。
その後JICAボランティア関係でパラグアイ、コロンビアとベサメムーチョな南米暮らしが続き、現在は流れ流れてフィリピンの田舎で日本語を教える日々。最近ハマっているモノはハロハロ(フィリピン風具沢山カキ氷)とレチョン(子豚の丸焼き)。
「ワイフ」や「ママ」とはほど遠い人生裏街道をクラゲのように漂いつつも、まだ見ぬ夫と我が子のためにSoLで修行しておこう、と決意する。