今月のお題は『男のここにグッとくる!』です。

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アキレス腱!
アキレス腱!
誰が何と言ってもアキレス腱!!!
理由なんてどうでもいいのです。
本人でさえ何故アキレス腱なのかわからないのですから。

しかし、これには条件つきです。
アキレス腱を見せる男性は、必ず「浴衣」を身にまとっていなければなりません。
サービス精神旺盛に、すね毛足毛をぼうぼうと露出させて短パンなぞをはいた男性のアキレス腱には、ワタクシ、ゲッと呟きこそすれ、グッとなぞは絶対にこないのであります。

パカパカと下駄から浮き上がる踵。そして、裾からスッと伸びる、男性のアキレス腱。
贅肉など一切ついていないその魅惑的な筋を目にした瞬間、ワタクシは、突然明治時代の大和撫子に変貌を遂げてしまうのでございます。そして始まる妄想世界。

例えば、しんしんと雪が降る日に愛する人との初めての温泉旅行。
手元に手ぬぐいなぞをキュッと握りしめ、うつむきながら、恥じらいつつ向かう露天風呂。もちろん、浴衣姿で先行く彼の三歩後に付き従います。きゃーーーー!

例えば、虫の音が微かに聞こえる夏の宵。露店に並ぶ骨董品を物色しながら歩く彼の下駄の音を聞きながら、ちょっぴり後ろを歩きます。時々彼は振り返り、これはどうだと言いたげな視線で、鈍く光るびいどろの、緑の器などを指差して微笑むのでございます。うヒヒヒーーー!

ダメです。ダメです。どんなに楽しくても、嬉しくても、その時、浴衣姿の彼の隣に駆け出して、寄り添い歩くのは、絶対にダメなのです。ましてや手に手を取り合ってなんて言語道断。そんなことをしてしまったら、彼の、強く繊細で逞しくセクシーな、あの愛しのアキレス腱が見えなくなってしまうではありませんか!

あくまでも、しとやかに、彼の後ろをうつむきがちに歩くのです。貞淑な女性のふりをして。
そして、チラリちらりとアキレス腱に目を走らせては、頬を薔薇色に染めるのです。

夏に見知らぬ浴衣姿の男性のアキレス腱を目にするたびに、ついフラフラと引き寄せられそうになっては自責の念に駆られる妻は、どうやったら夫に浴衣を着てもらえるか、結婚以来の懸案事項に頭を悩ませているのであります。