バーテンダー (Vol.1) (ジャンプ・コミックスデラックス)/城 アラキ

¥530
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ただお酒を飲むだけなら、チェーン店の居酒屋だって、自宅だっていいはず。
高いお金を出して、わざわざ行く価値がある場所。それがバー。
お酒を飲めない私にとっては不思議な場所です。

主人公のバーテンダー、佐々倉 溜(ささくら りゅう)が出すカクテルは「神のグラス」と呼ばれ、人々はその一杯を求め、訪れます。
味も素晴らしいのでしょうが、美味しいお酒なら、他の場所でもかまわないはず。
なぜ、人はバーの扉を叩くのでしょうか。

それはきっと、佐々倉が、初めてのお客様に対しても、常連客に対しても、お客様一人ひとりと向き合って、彼らがバーで過ごす一瞬を大事にしているからではないのでしょうか。

お客様は何かを求めてバーに行き着いたのでしょう。
カクテルの種類のように多種多様なお客様がいて、誰一人として、同じ顔、同じ生き方はしていない。バーに求めるものも、その時によってさまざま。

誰かと話をしたいのかもしれない。
一人じっくりとお酒を楽しみたいのかもしれない。
胸に抱えた気持ちを噛み締めたいのかもしれないし、
それを誰かにわかってほしいのかもしれない。

バーテンダー佐々倉はお客様の気持ちを察し、カクテルを通して満たしていく。
そして、お客様は佐々倉との会話の中で、自分自身とも対話をし、何かを見つけます。

佐々倉のすごいところは、決して驕ることなく、常に謙虚で、勉強熱心。
天才的な記憶力を持ち、一度いらしたお客様の顔や名前を覚えているのはもちろんのこと、微妙な体調や気分の変化を見抜き、それにあわせた絶妙なお酒を提供する。
これでまだ26歳!!
ありえね————。

これは、友人のおちんこ部長に聞いた話ですが。
キャバクラ嬢のように誉められ慣れている女性をおとすには、「かわいいね」「美人だね」なんてありきたりな誉め言葉ではなく、他人が誉めないような場所、たとえば「すごくきれいな形の耳たぶをしているね」などと誉めるとイイ。らしい。
おちんこ部長の勝率はさておき。

ここまで鋭い観察力を持つ佐々倉なら、キャバ嬢は一発でおとせるのでは!と思うのですが、仕事モードオフの彼は気弱であわてんぼうの青年。
カウンターの中とはまるで別人で、非常に人間味に溢れています。

『バーテンダー』とは「バー=止まり木、テンダー=優しい」で『優しい止まり木』という意味。
その名にふさわしい、優しく柔らかで上質な雰囲気がページから溢れています。

私も、年齢だけはバーが似合うお年頃になったと思いますが、どうにも1杯数千円を払うくらいなら、マンガ買った方がいいかな~と、大好きなコーラを飲みながら思うのでした。


Written by cheeco