今でこそ広く使われるようになった「一期一会」という言葉ですが、実はこの言葉を一番最初に使ったのは山上宗二さんという方だそうです。

この宗二さん、かの有名な千利休のお弟子さんでありまして、『山上宗二記』という、「利休茶湯の書」を執筆された方です。
(茶道の参考書、あるいはキリスト教の「聖書」みたいなものかしらん?)

「一期一会」は、その書の中で最初に使われた言葉。
「今日の一日は絶対に二度とないもので、すなわち今日の茶会は生涯ただ一度のもの。ゆえに、お客様も、もてなす側も気合入れてがんばりやー!」
まあ、こんな感じでしょうか。

さて、歴史の話はさておいて、現在のお茶の世界でもこの言葉はとってもよく使われます。
お茶の先生が教えて下さったり、茶室の掛け軸に書いてあったり……。
茶道を経験された方で、この言葉を耳にしたことがないという人は、おそらくいないのではないでしょうか。

かくいう私も、お茶を習いたての頃に、一番最初に習ったのがこの言葉だったように思います。もちろん、花より団子の10代でしたから、「イチゴイチエ」と聞いて、どうしても、大好物の苺しか思い浮かばず、
「お稽古のお菓子に、苺大福が出ないかなぁ。あー、苺大福苺大福……うおおおお!苺大福食いてぇぇぇ!」なんてことばかり考えていたのですが。
もちろんお稽古の後に何回も苺大福を買って、ちまちま齧りながら帰路についたりもしたものです。
時は流れ、30代になり、知人や親しい人との別離や死別を少なからず経験した今、改めてこの言葉の重みを感じられるようになりました。
「今という時間は人生に一度きり。今目の前で笑っているこの人とも、もしかしたらもう二度と会えないかもしれない。」

そう考えると自然、謙虚に、そして身が引き締まるような気がするのです。
当たり前の日常も大切に生きなければならないし、周囲の人々に対する接し方も、変わってくるというものです。
帰りが遅い夫に言おうと思っていた文句の数さえ、半減するような気さえします。(実際は顔を見た途端に逆上するとしても)

「イチゴイチエ イチゴイチエ」
夫婦間や恋人と喧嘩した時、そしてムカつく事を誰かに言われたら、相手に致命的な傷を与えかねない猛反撃を開始する直前に、ちょっと呟いてみて下さい。
きっと「うーん。私って大人の女♪」と自己満足に浸れる結果が生まれる……かもしれません。