
C. ブロンテ, C. Bronte, 小泉 龍雄
ジェーン・エア (イングリッシュトレジャリー・シリーズ)
[イギリス文学]なんて読んだことがなくても、もしあなたがあの有名な演劇漫画『ガラスの仮面』の読者ならば、『嵐が丘』についてご存知のはずです。
(『ガラスの仮面』では、確か子ども時代の2人をマヤちゃんと桜小路くんが演じていたはず。)
この『嵐が丘』を書いたエミリー・ブロンテの姉が『ジェーン・エア』の作者、シャーロット・ブロンテです。
『嵐が丘』は激しい永遠の愛を描いていますが、こちらの作品もなかなか凄まじいものがあります。
孤児である主人公、ジェーンは恵まれない幼少時代を過ごした後、初めて求婚されます。
相思相愛だった彼との結婚式の最中、突然、彼には本妻がいることが発覚。バレてぶちきれた彼が公開した本妻は、完全な狂気にとりつかれている女性で、彼の姿を見た途端、飛びかかるやら頬に齧りつくやら、大乱闘になります。そして、幸せなはずの結婚式の日がめちゃくちゃになってしまうのです。
失意のジェーンは彼のもとを去り、飢えや寒さに苦しみながら放浪します。
そしてボロボロになった彼女がたどり着いた一軒の家で出会った牧師は、天涯孤独だったはずの彼女の従兄だったのです。
ジェーンはこの後、この従兄に求婚されますが、それを受け入れた直後に最初の彼の声が聞こえ、また家を飛び出します。やっと再会できた彼女の目に飛び込んできた彼の姿は……
しかし、その姿と境遇こそが心身ともにデトックスした後の人間そのものなのかもしれません。
この作品は決して短い話ではありませんし「ホラーかいっ!?」と思ってしまうほど陰鬱で不気味な描写も多々あります。
けれど、独白調のジェーンの煩悶や、結果として彼女がとっていく行動は、あまりにも強く、そしてまぶしい光を放っています。
恐らく女性の地位があまり高くなかったであろうこの時代において、彼女の生き方が当時のイギリス社会で大反響を巻き起こしたというのも、なんとなく理解できてしまいます。一面泥だらけの荒野。ところが彼女が足を進めるとその後ろには、淡い緑が萌え、小さな花々がひっそりと咲く美しい小道が生まれていきます。
ページを読み進めるごとに、背筋がピンと伸び、澱んでいた心が、透明で清らかな水に洗い流されてゆくような、そんな作品です。
Written by Momo Oribe