『おしゃれをしないのは、泥棒よりひどい。
おしゃれは文明人の義務である』
—宇野千代—


まだ若い時分、ル・ベーの香水を教えてくれたのはオシャレでパリジェンヌに憧れる同級生のMでした。
それまで科学的な香りのするコロンしか知らず、あっという間に揮発してしまうそれを”香水”と同等に思っていた幼い自分にとって、ハート形の甘やかな曲線はきらきらと輝くダイアモンドにも似て豪華。その香りはめくるめく甘美への誘いでした。

冒頭の言葉は小説家の顔以外にきものデザイナーとして生きた宇野千代の言葉です。とても有名な言葉ですね。

私にとっておしゃれの扉が開いたのは友人Mが教えてくれたこの香水からだったように思います。まだ十代のうぶな女子高校生はオシャレになりたい!と心から思ったものでした。

ところが、おしゃれを続けるのってそう簡単なことじゃありません。だって女は人生を心で生きているから。心が錆びていると美容やおしゃれに気持ちが向かないのです。それはモデルだろうとタレントだろうと同じなのではないでしょうか。

しかしこの言葉はそんな考えに喝をいれる一文です。

恐らくおしゃれ心というのは一度怠けるとどこまでも怠けたくなる——所謂”なまけぐせ”がついてしまう邪な心。
だから、
「時には怠けてもいい。だけど本当はひどいことをしているって忘れないで!」
となまけぐせに甘える自分を目覚めさせる、気付け薬が必要になります。

そんな時にシンプルでかつ鋭いこの言葉を思い出して、刺激を得るのも効果的かもしれません。