滋賀県湖南広域消防局の若手消防士が「滋賀県消防職員意見発表会」で最優秀賞に選ばれ、4月に京都市で開かれる東近畿大会に県代表として出場する。幼少期に一時心肺停止となり、父の蘇生を受けて一命を取り留めた経験を元に、親が救急救命の知識を身につけることの大切さを訴える。「父が救ってくれたこの命で、多くの子どもたちを救いたい」と話す。
東消防署(野洲市辻町)の朝倉岳志消防士(22)=大津市陽明町。5歳の頃、インフルエンザが重症化し、自宅で心肺停止状態に陥った。勤務先で1週間前に救命講習を受けていた父正則さん(53)は、救急隊員が到着するまで胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返した。心臓が停止した場合、死亡率は3分で50%に上るとされる。朝倉さんは病院で容体が回復、医師は「後遺症がないのはお父さんの行動があったから」と話したという。
「今、生きているのは奇跡。自分も人の役に立ちたい」。朝倉さんは当時の記憶はほとんどないが、父のとっさの判断が消防士を志すきっかけになった。大津高を卒業後、東京消防庁に入り、八王子消防署に勤務。「この仕事を生まれ育った地域でしたい」と、昨年4月に湖南広域消防局に採用された。
意見発表では「お父さんがあなたの命を救ってくれたのよ」という母三紀さん(53)の言葉を交えながらエピソードを披露する。親子で心肺蘇生法など学ぶ「防災救命キャンプ」の開催を提案し、「備えることでわが子は救える」と救命講習の受講を呼び掛ける。
4月20日の東近畿大会には7府県の8人が参加し、1人が6月の全国大会に出場する。