ニッポン人のソウルフードと言えば、お味噌汁、おにぎりといったところだろうか。

 

では、海外のちょっと辺鄙な場所に住む奥さんたちが、あぁぁ、簡単に手に入れてぇ~と思うソウルカットがあるのをご存知でしょうか。

 

なんや、ソウルカットって

 

と思われるでしょう。今日はそんなお噺をひとつ。

 

 

ネバダのリノに住むと決まった時、旦那に真っ先に尋ねたのが、日本食スーパーの有無であった。無いとわかったその時、10年以上前に住んでいたタイ・パタヤ生活に戻るんだな、と覚悟をした。それは、

薄切り肉が手に入らねぇ

という覚悟。

 

 

いや、厳密に言うと頑張れば手に入る。量り売りの店で、頼むうす~切ってくれと頼んだり、半解凍の肉を薄く切るという、にわかブッチャーに自分がなれば、厚みにばらつきは出るものの、もどきは手に入る。

 

しかしそうして手に入れた薄切り肉で牛丼を作るも野菜炒めを作るも、欲しい歯ざわり、舌触りは手に入らない。立ちはだかる薄切り肉の壁。このそびえたつ高い壁にぶつかった時、薄く切り落とされた肉は日本人のソウルカットだったのか、と気づくのだ。

 

 

その壁を乗り越えたいと、厨房器具屋で肉のスライサーを手に入れるつわものもいた。

 

 

肉はぶ厚くガツーんと喰うのが醍醐味でしょうが、という人たちにとって、向こうが透けて見える肉があっちこっちに散らばって出てくる料理など、喰うた気にならぬというのだろうか。

 

 

先日、トレジョーへ買い物へ行き、肉コーナーを眺めていた。目の高さの少し上の見にくいところを背伸びして覗いてみると、

ソウルカット発見!

 

まじかトレジョーで薄切りの牛肉が手に入るのか。てか、トレジョーさんよ、薄切り肉を置く位置が高けぇ。アジア人向けであれば、せめてあと1段下にしてくれよ、とホンマはものっそ嬉しいくせして心の中で愚痴ってみた。

 

 

その数日後、家から車で2分の地元スーパーへ行った時のこと。ヒマであったので、肉コーナーを端からじっくりと眺めていた。豚、鳥、七面鳥、羊にバイソン、バイソン!?とか言いながら。

 

すると

奇跡の出会い。

 

地元スーパーに薄切りの牛肉。

横幅広く、縦に長すぎるという薄切り肉界の異端児的風貌ではあるもの、正真正銘の薄切り肉である。

 

 

今日は肉じゃがにしようやないかとテンションあがる。

 

 

当たり前が当たり前でなくなった時、その当たり前のようにあった当たり前がとても貴重であり支えてくれていたと気づく。

 

 

とは言え、豚肉の薄切り肉は見当たらないので、オカン時々ブッチャーな生活はまだまだ続くのである。

 

 

 


Boi精肉店、従業員はオーナー店長ひとり。