次回開腹手術に私が

二の足を踏んでいる理由を

ちょっと説明してみたい!

 

(なんか暗い書き出しに

なりそうだったので

あえて元気に宣言する戦術)

 

まあ理由の一番は

『術後の癒着が嫌すぎる』

なんですけど、ここにきて

それを凌駕する

要因が出てきてですね。

 

 

それは私が

術後に送り込まれた

ICUでの出来事でした・・・

 

手術翌日の夜、天井の灯が

少し暗くなったあたりから

病棟はどんどん忙しくなりはじめ、

体調が急変した入院患者や

救急救命室経由の重傷者が

休む間もなく運び込まれ、

しかし看護師さんたちは

それら患者を見事にケアし

・・・それでもICUの宿命か

時にはそのまま息を

引き取る方もいらっしゃって、

そういう場合は遺族の

対応もしなくてはならず、

私はすでに己の中にあった

医療従事者への尊敬の念を

いっそう高めていたのでありました。

 

そしてこの夜早いうちに一件

『警察がらみの』患者さん

(事件・事故に巻き込まれた、

みたいな)がICUにやって来て、

その案件処理が終わって

看護師さんたちが一息ついた頃に

もう一件警察官に付き添われ

運び込まれた患者さんがいて、

で、この患者さんがなんと

英語と日本語と韓国語で

痛みを訴えていたのです。

 

声からするとまだ若い女性、

事故で大怪我をしてしまったらしく

可哀そうにずっとすすり泣いている。

 

思わず耳をそばだてていると

どうやら彼女は

アジア圏を活躍の場とする

歌手だかモデルだか

アイドルだかであるようで、

本人の出身は韓国、でも

マネージメントをしている人の

多くは日本人である様子。

 

本人はかなりの重症で

ほとんど「打つ手がない」

状態に近い、それを受け

マネージャーたちは

各方面に電話をかけて

イベントの差し替えや

代役の手配に大忙しな模様。

 

その後ろでその子はずっと

うめき声を上げている。

 

女の子は一時命が

危ぶまれる状態に陥ったものの

その後なんとか回復し、

しかし看護師さんたちの

ひそひそ話によれば

彼女はどうやら業界で

性的に搾取もされているらしい。

 

しかし病院としてはまずは

怪我の治療第一で・・・

 

(中略)

 

翌日の昼、彼女は

『退院会見』を開くところまで

回復し、というか

無理矢理回復させられ、

その会見の準備のために

マネージャー陣が

ICU関係者と

打ち合わせをするうちに

そのうちの一人が

ICU側の書類に目をとめたらしく

「(日本語で)ねえ、これ、現在

このICUに入っている患者の

名前一覧だよね?ここに

日本人ぽい名前がない?

話聞かれていたらヤバくない?」

 

それがどうやら

私の名前であるようで。

 

彼らとしてはこのICUにまさか

日本語話者がいるとは思わず

故にそれまで結構好き勝手に

業界裏話みたいなものも

日本語で口にしてしまっていたので

これはいけない、という話になり

「お見舞いって名目で

口止め料を渡しておこうよ」

 

「え?でも口止めって

言っちゃったら逆にまずくね?」

 

「そこはうまく匂わせて・・・

とにかく念のため相手の

顔を確かめておかないと・・・」

 

いやいやいや。

 

口止めとか面通しとか

それはもう明らかに

堅気の世界の話じゃないでしょ!

 

というわけで私は

担当の看護師さんを呼んで

「なんかあっちで変な協議が

行われている様子なので!」と

一部始終を説明して

「誰が挨拶に来ようと

私は面会謝絶ってことで

押し通してください!」

 

看護師さんは私の目を

じっと見つめて話を聞いた後

「その会話は日本語で

行われていたのね?」

 

「そうです、だから皆さんには

内容がわからなかったと

思いますけど・・・」

 

「・・・わかったわ、

ちょっと待っていてね」

 

そう言われて私は安心したのか

そのままウトウトしていたら

しばらくして担当看護師さんが

ICU看護師長および

他の看護師さんを5、6名

引き連れて戻って来て、

一同を代表して看護師長さんが

「問題が起きたと聞きました。

Norizoさん、もう一度詳細を

あなたの口から

説明してもらえますか?」

 

はいわかりました、と

私がもう一度初めから

上記の話を繰り返すと

看護師長さんは深く頷いて

よくわかりました

 

「ありがとうございます。

では先方への対応は

そちらのほうでどうかよろしく」

 

「Norizoさん、それは幻覚

(Hallucination)です。

当ICUではそのようなことは

一切起きておりません」

 

「いやですからそれは

彼らが日本語を使っているから

皆様にはそれがわからず・・・」

 

「Norizoさん。現在このICUには

Norizoさん以外、日本人も

韓国人もアジア人は入っていません」

 

「えっ?でも昨日の夜からずっと

日本語や韓国語が聞こえてきて・・・」

 

「ですからそれが幻覚です

 

その時私は思いました、

看護師長さんめ、連中から

口止め料を受け取ったな、と・・・

 

私の不信に気づいたのでしょう、

看護師長さんは言葉を続けて

「いいですか、Norizoさんは

現在モルヒネを使って

痛みを抑えています。

モルヒネの副作用で

幻覚が出るのはよくあることです。

心配しないでください」

 

「心配というより・・・え?

じゃあどこからが

幻覚なんですか?」

 

「話の一番初めからです」

 

・・・えっ・・・?

 

しかし何が恐ろしいって

私は看護師長さんに

ここまで言われても、その後

その『幻のアイドル』の

『退院会見』の音声を窓越しに

確かに耳にしたんですよ・・・!

 

つまり『それは幻覚』と

断言されたにもかかわらず

なおも幻覚が続いたわけです。

 

ただその時点では私はまだ

『病院側が事態を隠蔽しようと

私に嘘をついている』可能性を

捨てきってはいなかったのです。

 

私が己の幻覚を幻覚として

受け入れたのは

その数時間後のことでした。

 

続く。

 

 

・・・このタイトル、

アメブロ的に大丈夫・・・

ですよね?

 

幻覚を経験したことのあるアナタも

それ、最初の看護師さん、

怖かったでしょうね・・・!と

思わず同情してしまったあなたも

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