わたしは行き当たりばったりの人だけど

夫はちゃんとリサーチして美味しいものを探すタイプ。

こういう人と旅すると本当に美味しいものしか当たらないのである意味とてもラッキーなのかも!


フィレンツェにて朝ごはん抜きで美術館に行って、結構歩いた11時過ぎ....


ブリオッシュとカプチーノで朝ごはんにしようか?

そんな感じのタイミングでも....

彼はその辺のカフェでは絶対に納得しない


あゝじゃあ、凄く評判の良いパン屋さんに連れてってあげるよ

そう言ってトコトコと小道を歩き始めた

空腹一家

ゾロゾロ夫の後をついていく


到着したのは路地裏の素敵なカフェを併設したパン屋さん

ガラスケースの中には焼きたてピカピカの各種クロワッサンから色々な種類のパイ、サンドイッチ、ビスケット 

宝石みたいに煌びやかなケーキ達


娘っ子の目が爛爛と輝き

小さなサンドイッチの後で絶対に小さなケーキも食べたい!あっちのパイも一口食べたいと大興奮


夫がカプチーノと全員分の朝食をイタリア語でオーダーしてくれる

対応してくれたのは黒髪のアジア系の女性

人種の坩堝のロンドン

そこから比べるとフィレンツェでは観光客以外で外人らしき人を見かけるのは稀なのでちょっとだけびっくりした


夫に日本語で(ありがとう)って囁いたら

その彼女とバッチリ目が合った

あれ?今、日本語に反応した?日本の方かな?

そう思った瞬間に彼女の方からニッコリ笑って

(おはようございます!日本人ですか?)って声をかけてくれた


雰囲気的に絶対に同世代

流暢なイタリア語で次々とやってくるお客さんの細かなオーダーをバンバン捌く女将さん風のカッコいい女性だった


そこから彼女と日本語でお仕事のお邪魔にならない様に弾丸トークが始まった

20年以上フィレンツェに住んでいて

本職はなんとアトリエで古典美術の修復をなさってるそう

パン屋さんは頼まれて忙しい時間だけ本当に数時間だけお手伝いに来てて(普段はじっと座って作業に集中してるから息抜きになるそう)


えええ〜凄い!

元々アーティストだったんですか??


そう聞くと


全然

日本でお勤めしてたけれど...

なんか違和感があって

こちらに来てから修復や芸術の勉強を始めて....

まあ日本人は器用だものね


うわ〜凄い!!!

フィレンツェで暮らすのどうですか?


そう聞いたら

彼女は満面の笑みを浮かべ


もう本当に色々ありすぎて

大変と言えばめちゃくちゃ

大変ですよ!

だって相手はなんたって

イタリア人だもん!


そう言って笑った


その言い方が...

わたしのパリ在住の友人と全く同じ


もう幸子

そりゃあパリはびっくりする程、

美しくって....

パリに飽きる日は絶対に来ないわよ!


でもね、暮らしてみると

まあ本物のジャングルみたいよ

色々あるわよ


彼女達に共通するのは語学力なんだと思う

カタコトの言葉でなくその国の言葉をマスターしてしまうと、(お客さん)としてその国に関わりを持つのではなく....

その国のシステムを充分に理解した人として認識され、現地に暮らす人と同様に扱われることになる。

そうなってくると日本の常識は全く通用しない。

適応しなきゃ生き残れない!まさにジャングル

そういうことが言いたいんだと思う


でもね

わたしは彼女達の(もう本当に大変)の行間から

自分の力で適応して、力いっぱい生きてる!

その深い誇りを読み取るんだよね!



全く日本では芸術関連にご縁がなかった彼女

こちらでイタリア語を覚えてそこから勉強して技術を学んで....

そしてその仕事(もちろんパン屋さんも)を誇りに思い楽しんでいる雰囲気がリアルに伝わってきた

なんて素敵な女性なんだろう!


このカフェに行った朝に

日本の美女から

(お返事は結構です!

時間のある時に読んでください)

そういう風に書かれたメッセージが届いた


彼女は長年勤めた職場

めちゃくちゃ努力して頑張ってきたけれど

この場所にいても絶対に自分が望む方向にいかない事を理解して、思いっきり絶望している

それでも会社を辞めるのがとてもとても怖い


そんな内容のお手紙だった...


わたしはいっつも思う


長年勤めた職場を去るというのは離婚に似ている長年に渡り愛情と時間と感情と献身を捧げた相手に対してスッパリと割り切れる円満離婚なんて本当に稀


自分で納得して決めたことでも....

かなり長く後を引いてしまうのが当たり前なのよね

逆に割り切れずもがいてもがいて苦しむのが当然なのかも


でも


絶望というのは

次に進んでいく大きな力になるんだよね


逆に絶望しないと前に

絶対進めない!


絶望するから立ち上がれる

絶望するから進んでいけるんだよ


わたしはいつでもそう思っている


このメッセージを頂いた日に

このカフェでこの彼女に出会ったのも非常に象徴的だなぁって思うのよね


全く芸術にご縁もなかったのに

こんな風に思いもしなかった分野で道を切り開いた人もいる

もしかすると彼女も日本を飛び出した原動力は

(絶望)だったのかもしれないね


メッセージをくださった彼女

今はめっちゃ怖いと思う

それでもね

そこから自分では想像すらしなかった未来に進んで欲しいと思う!頑張れ!!



朝ごはんを食べ終えてお店を出る時に


お互い海外暮らし

身体だけは大事にしましょうね!


そんな言葉を交わしてお別れした


すると彼女は既に包んでおいてくれたビスコッティをぱっとわたしに手渡してくれて


これ

今日中に娘さん達と召し上がってください

美味しいですよ


って言ってくれた


本当に水も甘いも噛み分けた深みのある人だったなあ

もう少しゆっくりお喋りできたらきっと良い友人になれたかも....

でも名前すら聞かなかった(本当に残念)