結婚相談所から申し込まれた7才歳上、

坂東忠信に似た会社員の方と逗子葉山でまだデート中であり、夜は力石と会う予定。





マーロウのプリンとコーヒーの箱を抱えて車に戻る。





物語であれば、

なんか相手が嫌なので以上終了。

と出来るが、実際は帰宅するまでじっと忍耐が必要とされる。


よしこれを食したら今日の任務は完了だ、

と己を奮い立たせる。

デートは終盤、ゴールは近い。




すると坂東忠信はのんびりした口調で、

折角ですから、景色の良い場所まで行って食べませんか。

と申してくるが、私は、

ここでも良かろうとにべも無く返す。



【中古】トランプの最後通牒 墓穴を掘った習近平 (WAC BUNKO 325)/藤井 厳喜、坂東 忠信

※言うておくが左だ。似ておるばかりに坂東忠信と書いてすまぬと思う。



しかしここは店の横の駐車場、

見渡す限りの灰色、永遠にさまようコンクリートジャングル。そして車内は足下に泥。




致し方無く、

良い考えだな移動しようかと私が言うと、

坂東忠信は車のエンジンをかける。



プリンの箱を持つのは私。コーヒーが2つ。

実はドリフのコントを期待されておるのかと、一瞬思う。


バナナの皮が落ちていたら、滑って転ばなければいけないように、坂東忠信のつんのめるブレーキで、この熱いコーヒーをそのままこの男にぶっかけるべきなのか。







海沿いの道路を真っ直ぐ進むと、赤く燃えゆく太陽が眩しい。葉山の夕日はなんと美しい。





坂東忠信は、海沿いのカーブに差し掛かる場所などで、


ここで止めようかな、ここにしようかな、

と呟いた後で、

でもここだと怒られるかな、とか言うておる。



私は、早くしないと力石との待ち合わせに遅れないかという焦りがある。

正直、場所なんかどこだって良い。




彼はゆっくり走りながらも、

ここにするか、止めるよ、止める、でもやっぱりここは怒られるかな。を繰り返す。




早くしろ、何時までお前のオナニーに付き合わせるつもりなのか、と私はイライラしてきて、

向こうに見える駐車場を指し、


あの辺で良いだろう、良い眺めでは無いか。

と、適当な事を言う。




坂東忠信はそうですね、

と言いながら駐車場に向かうが、

看板に大きく、駐車料金300円の文字を見て、

高いなと呟く。



私は、絶対に、意地でも、

今回は財布は出さないぞと、

心に誓う。