私がまだ就学前、
3歳か4歳か5歳か‥‥。
その日もバーチャンといっしょに
銭湯に行っていた。
お風呂からあがって
バーチャンがふとみると
私がどこにもいない!
あわてて服をひっかけて
表を探しに出たのだという。
銭湯を出て右に曲がるとそこは坂になっていて
坂を登ったところには国道1号線。
何十年も前の話だけれど
当時から車、特にトラックの往来は激しく
しかもその頃は横断歩道も信号機もなかった。
歩行者は、何度も左右を確認してから渡る
というような、そんな時代だった。
バーチャンが大急ぎで坂を登り切った時
その国道1号線の向こう側を
まっ裸で歩いている私を発見したのだそうだ。
「あの時は本当に心臓が止まるかと思ったよ」
バーチャンは何度も何度も
その話を私にしてくれたものだった。
幼少期のことを
私はかな〜〜り、よくおぼえている方だと思う。
なのにどういうわけか
この〈事件〉については
まったく記憶にないのだ。
カケラすら残っていない。
私はバーチャンのことが大好きだったし
とてもききわけのいい、
行儀のいい子どもだったので
〈裸で勝手に外に出ていく子ども〉
というのが
どうしても自分の像と結びつかないんである。
九州の共同家族風呂で
子どもが行方不明なったそうですね。
ことの顛末はまだわからず
無事であってほしいと願うばかりだが
ただ!
家族の仲がよかろうと
聞き分けの良い子どもであろうと
訳のわからないことをすることがある
ということを
私は身をもって知っている。
なので
親が目を離したからいけない
というようなことでは
決してないなと思っている。
目を離さなくても
何をするのかわからない
それが子どもなのではないか?
この九州の事件が
どうなるのかはわからないけれども
〈子どもは本人でさえもわからないような
とんでもないことをする生き物だ〉
ということを
何十年も前の出来事を
ふと、思い出したのだった。
台風で川が増水して
探すのが困難なようですが
どうぞどうぞご無事で❣️
