↑先日書いたこの本について、もう少し書いてみたいと思います。
今回も、本のなかで安田のオッチャンが話しているところは、
紫色で引用しています。
小学生の頃、
いや、小学校にあがる前から、
私は見世物小屋に通っています。
見世物を見にいくたびに、かならず見られたのは<ヘビ娘>です。
タコ娘や人魚姫なんかのようなインチキとは違って、
これにはたしかな芸がありました。
ヘビ娘であるオネエチャンが生きたヘビを持ってきて、
まず、一番前に陣取っている小学生たちに、
そのヘビをさわらせて(あ、実際に触ったことあります
)
そのヘビを鼻から口まで通して
行ったり来たりさせるのです![]()
ヘビには鱗があるので、鼻の穴が荒れる
ということが、先日の見世物展示で書かれていました。
そりゃあそうだ、痛い芸ですよね〜〜![]()
で、そのヘビをね、
頭からガブッと、噛みちぎるわけです。
そうして頭をペッと吐き出して、
噛みちぎったヘビを口にくわえてしごき、
ヘビの生き血を飲むのです![]()
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そのあとで、ヘビをまた噛みちぎって
むしゃむしゃと食べるというのもありました![]()
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蛇を鼻から入れて口から出すことを
この稼業ではサンガツというそうです。
サンガツというたら、マキを鼻から入れて口から出すんや。
鼻、花。桜は三月に咲くだろ。
だからサンガツちゅうんよ、うん。
そして、たぶんヘビはとぐろを巻きますから、
それでだと思うのですが、ヘビのことはマキというのだそうです。
マキツギちゅうのはね、マキを食べる。蛇を食べる。
ツグちゅうことは食べるちゅうことね。
マキでもな、ニシキヘビ、大蛇なんかも昔から入れとるわな。
大マキな。
さすがにニシキヘビを鼻に入れるサンガツは
見たことがありませんが…![]()
で、ヘビ娘のオネエチャンはこの芸のあとで、
仏壇用の細いローソクを数十本束ねたものを
手にもって火をつけます。
そのローソクの束を傾けると、
ズズーーーッと蝋(ろう)が滴り落ちてきます。
その蝋をね、口の中に含んで、
束ねたローソクに向かって吹き付けると
ぶわぁーーーっと、大きな炎があがります。
あれはねぇ、カエンとわしらはいうとるけどね、うん。
フキいうとるけどね。
だいたい符丁ではフキだわな、うん。
マキツギでフキをやるという、うん。
昔々見て、忘れられない芸について、
こうやって解説がきけるという
なんだか、すごい時代ですよね。
でね、このマキツギの話にはつづきがあるんです。
このマキの荷物はね、三年なら三年、二年なら二年、
年を切ってやらなきゃいかんの。
アラガミさまにお願いをして、
とにかくたとえば、三年なら三年ね、
ひとつ、巳(み)ィさん、もうけさしてくださいと。
かならず三年の今日なら今日、
たとえば二月の十七日なら、
三年目の二月十七日が来たら、
あるだけのマキを、全部、きれェにふいて、
卵飲ますかお水でも飲まして、
ほんでダァーッと逃がしてやって、
中に入っとるお客さんに、
袋何でもええからアメ玉でも袋に入れて、
みんなにパァーッと配って、
供養して、ほんで、やめなかったらダメなの。
あんなん、ズルズルベッタリやっとったら、
今に絶対に、あのう、あれ(たたり)がくる。
え〜〜〜〜っ![]()
安田のオッチャンも<あれ>言うてますけど〜〜![]()
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実はこのくだりは、本で読む前に
レキハクで目にしておりまして、
スポーツ選手がゲンを担ぐように、
いや、それよりもっと厳しい
見世物稼業には見世物稼業の
シビアなアレの世界があるのだろうなぁ
と、心に残るものがあったのでした。
そうしましたら、
本の中に、なんか自然に、あたりまえみたいに、
オッチャンのアレの話が載ってまして…
天草やなんかで、
占いちゅうか当てもんみたいなことしたことあるよ。
肩のこった人もんでやったりな、病気の人を治してやったりな。
それがまたよう治るんよ、奇妙に、うん。
足の悪かった人が立ったとかね、
子どもを産んでもう頭に血がのぼって気違いになった嫁さんも治したしね。
ほんでね、それは評判になって、一日に何十人と来るんや。
ほんで今度は、今日は何人までしか見ませんつってからにもう、
見とるうちに金(かね)段ボールにいっぱいなんにゃもん。
お金いらんというのに置いていくんやが。
こういう話をシロウトの私がきくと、
(そんなにニーズがあるんなら、こっちのほうが楽でしょうに。
なんで、こっちは金いらんとか言って、
わざわざ目ん玉にボタンを入れたり、
体にスポークさしたり、
金魚を飲んだりする方を選ぶんだろう
)
と思ってしまうのですが、
そこはそれ、
オッチャンの生き様ということなのでしょう。
あの、今でも、十人みたら九人までピシャピシャピシャッと当てるよ。
「先生ですか。お願いします」ったら、
「はい、わかりました。座ってください。なんにもいわなくていいですよ」
っていうて、ぐっと顔見て、ほれから、
「ちょっと失礼」つってからに、おでこへちょっちょっとこう、
手ェやってみたり、指の爪をくっと見たら、
もうほんでいっぺんにわかるもん、うん。
今でもわかりますよ。
ここのうちの夫婦の仲が悪いとか、親子の縁が悪いとか、
兄弟の縁が悪いとか、災難ごとちゅうこと、みんなわかる。
いや〜〜〜、オッチャン![]()
もちろん人間ポンプも、見られてよかったけど、
私には財産になってるけど、
そんな<大先生>だったなら、
いっぺん、みてほしかったわ〜〜〜![]()
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見世物稼業―安田里美一代記
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